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2022年6月20日月曜日

成人Still病のクラスター解析: 症状や経過のタイプ

 (Rheumatology (Oxford). 2021 Oct 2;60(10):4844-4849.)

イタリアのAOSDコホート; GIRRCSの解析.
全例がYamaguchi基準を満たし, Mimickerが除外されている.

・診断時の12の症状について評価し, それぞれを1点としてスコアを評価し, またESR, CRP, Ferritinも評価.


 12の症状: 発熱, 典型的皮疹, 胸膜炎, 肺炎, 心外膜炎, 肝腫大/LFT異常, 脾腫, リンパ節腫大, WBC>15000, 咽頭痛, 筋肉痛, 腹痛

・また, 最終的な経過より単発性, 慢性, 死亡に分類(Cush基準)


その結果, AOSDは症状や経過, 検査所見から4つのClusterに分けられた


Cluster 1: 

・最もFerrtinが高値(14724±6837ng/mL)でESRが最も低い(36.67±13.87)

・慢性経過となることが多く, 致命的な症例は無し.

・肺病変は認めず, 全身性スコア>7となる例は25%のみ.

・多い症状は発熱(100%), 典型的な皮疹(92%), 関節炎(83%)

・csDMARD(75%)やbDMARD(42%)で治療される例が多い


Cluster 2: 

・最もCRPが高値(28.81±4.60 mg/dL)で, Ferritinは低値(2039±1314ng/mL)

・60%が慢性経過となり, 40%は単相性の経過となる

・多い症状は発熱(100%), 関節炎(100%), 肝障害(90%)


Cluster 3:

・最も全身スコアが高く(8.88±1.79), 死亡率も高い(54.2%)
最も高齢でもある(55.75±16.16歳)

・単相性の患者はいない

・発熱(100%), 筋肉痛(96%), 咽頭痛(92%), 脾腫(88%)


 全身スコア>7を満たすのは88%と多い.


 MASは54%, 肺疾患は42%で認められる.


Cluster 4:

・最も多い群であり, 
Ferritinは1457±1298ng/mL, CRPは5.50±4.87mg/dLと低い.
 

 平均年齢は44.08±15.02歳.

・慢性経過が55.8%. 死亡率は9.5%

・発熱(100%), 関節炎(90%)


まとめると, 発熱, 関節炎, 皮疹はどれも高頻度

Cluster 1はフェリチンが高値で
, 炎症はそこまで高くはなく,
 慢性経過だが致命的では無い.

 全身スコア>7となる例もすくない

 >> フェリチンが高値なのが目立つが, 炎症や臓器障害はあまり強く無いタイプ. 慢性経過となりやすい.

Cluster 2は肝障害が多く, CRPも高値.
 慢性経過と単相性が混在

 全身スコア>7となる例は半数以上あり

 >> CRPが高く, 多臓器障害も多い. 単相性のこともある. 

Cluster 3は咽頭痛, 他多臓器障害, MASが顕著で致命率が高い.
 全例が慢性経過となる

 全身スコア>7となる例が9割近く. 多臓器障害を呈する.

 >> 予後が悪いタイプ. 多臓器障害の多く, MASや肺病変も多く要注意.

Cluster 4はCRP, Ferritinは低め.
 慢性経過と単相性が混在.

 全身スコア>7はCluster 1と同様, 少ない.

 >> 多臓器障害は少なく, フェリチンやCRPもさほど派手ではない. 単相性もあり.