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2021年6月1日火曜日

骨髄穿刺: Dry tapの頻度と原因は?

骨髄穿刺をするが, 骨髄液が引けてこない現象をDry tapと呼ぶ.

主に骨髄の線維化や, 腫瘍細胞や幼弱細胞が著明に増加することで生じる現象である.

どの程度の頻度, そしてどのような原因疾患があるのだろうか?


Virginia Univ.において, 1983-89年に施行された,
骨髄穿刺+生検症例2235例を解析.

(American Journal of Hematology 1990;35:247-250)

・この内Dry tapは87例(3.9%)で認められた.

・Dry tap症例における生検結果は以下の通り:

疾患

No(%)

白血病全体

36 (41.3%)

リンパ腫

3 (3.4%), HL 1, NHL 2

多発性骨髄腫

4 (4.6%)

MDS

6 (6.9%)

特発性骨髄線維症

12 (13.8%)

転移性腫瘍

15 (17.2%)

薬剤性

MTX 1クロラムフェニコール 1

Gaucher

1

後天性免疫不全症候群

1

Aplasia

1

正常

6 (6.9%)

・白血病は, CML 13, CLL 2,
 
Acute nonlymphocytic leukemia 7例

 Acute lymphocytic leukemia 5例
 
Hairy cell leukemia 9例が含まれる.

Mianwali hosp.(パキスタン)において,
 2009-2012に行われた骨髄穿刺, 生検症例をReview
(J Ayub Med Coll Abbottabad. Jan-Mar 2015;27(1):120-3.)
・Day tapは9.5%であり,
 特に男性で多い(11.9%)
・年齢別では高齢ほどDry tapは多い

・生検による診断は, NHL, ALL, 
転移性腫瘍が多い疾患.
・正常は全体で4例(7.7%)
・小児ではALLが多く,
 
15-59歳ではNHL, 肉芽腫や骨髄増殖性疾患

 高齢者ではNHL, 転移性腫瘍, MDSが多い


3173例の骨髄穿刺において, Dry tapは138例(4.3%)
(Appl Pathol. 1984;2(5):264-71. アブストラクト)
・疾患別のDry tapであった割合は,
 急性白血病で16% (35/218), 
 骨髄増殖性疾患で9.8% (44/445), 

 悪性リンパ腫で8.8% (29/328), 
 骨髄腫で4.8% (10/208)
転移性腫瘍で13.5% (10/74)
・Dry tapの場合, 
 病理像は線維性変化かHypercellularity(主に幼弱血球)が認められ
 骨髄病理像が正常であった症例は認められなかった.

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まとめると, 骨髄穿刺におけるDry tapはおおよそ4~10%で認められ,
それら症例で生検を行うと, 血液腫瘍(白血病, 悪性リンパ腫, 骨髄腫), 転移性腫瘍, 骨髄増殖性疾患, 肉芽腫性疾患, MDSが認められることが多い.
正常骨髄でDry tapとなる例は稀ながら存在する(手技の問題?)