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2021年2月16日火曜日

関節リウマチでの病状の評価でPGAをなくしたら?

 関節リウマチの病勢の評価ではDAS28や、CDAI、SDAIなど用いることが多い.

これらは, 圧痛関節, 腫脹関節数(いずれも28箇所で評価), 炎症マーカー(ESRやCRP), そして患者さんの自己評価(PGA: patient global assessment. 10cmのメモリで評価. 10が最悪. DAS28では100mmで評価する)が含まれる(SDAIはCRP除く). 

これは自分の主観であるが, 実際RA診療をしていると, このPGAがなかなか下がってくれないことがよくある. 客観的に関節所見や炎症が改善していても, PGAが下がらない... 

実はRA以外の不調(変形性関節症や他疾患)があり, 純粋にRAのみの症状を評価するのが難しいことも原因としてあるのではないか, と思うのだが, このPGAはどの様に解釈したらよいのだろうか. というのはいつも悩む.

そんななか, このような報告がでた.

(Ann Rheum Dis. 2020 Oct 6;annrheumdis-2020-217171. doi: 10.1136/annrheumdis-2020-217171.)

Bioの効果を評価した, 2年以上フォローされ, XPによるアウトカムも評価されている11 RCTsMeta-analysisにおいて, 患者のデータを評価.

・寛解の定義はACR/EULAR Boolean基準を用い;

 ・圧痛関節28(TJC28)

 ・腫脹関節28(SJC28)

 CRP(1mg/dL)

 PGA(patient global assessment: 0-10)

 4項目で, 全てが≤1であることを

 (i)4V-remissionとし,

 (ii)上記+PGA>1で定義した4V-near-remission,

 (iii)PGAに関わらず, 他の3項目で≤1を達成した3V-remission,

 (iv)non-remission(TJC, SJC, CRPのどれかが>1)に分類

・分類は6-12ヶ月の時点で行われた

・アウトカムは各群における, 2年間のフォローでのGRO(good radiographic outcome), GFO(good functional outcome)達成の頻度を比較した(ΔmTSS≤0.5, ΔHAQ-DI≤0などで定義)

アウトカム

・導入StudyTNF-α阻害薬を評価したものが9と最も多い.

 N= 8114例で, 2322例は除外(29%). 主な除外理由は最終評価における画像所見が不明であったことが最多(71%)

寛解基準を満たす割合は,

 4V-R23.0%[18.0-28.0], 4V-near-R18.9%[15.4-22.1]

 3V-Rは上記の合計.

 非寛解例は58.1%[52.0-64.1]


4V-R
4V-near-RGRO

・4V-R4V-near-RΔmTSS≤0.5は同等.
一方で非寛解例は4V-near-Rと比較してΔmTSS増悪リスクが上昇
Cutoff≤0とすると有意差はない

GFOの比較

・ΔHAQ-DI4V-R群の方が良好となる
・患者の主観が入る評価のため, PGAの関連が強いと予測される

4V-R3V-R達成による各パラメータへの関連

・ΔmTSSについては双方とも同等といえるが
ΔHAQ-DIPGAを含んだ方がより関連性が高い

4Vから3Vに変更することで18.9%の患者でさらなる治療の強化が不要となる.
その分 対症療法に重きを置くことでよりGFOも改善が見込める可能性もある