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2020年5月28日木曜日

梅毒による骨病変

梅毒による骨病変はどのようなものがあるのだろうか?

梅毒は病期により以下に分けられる
・感染後2-6週で生じる一期梅毒
 感染部位の硬結, 壊死.
 その後免疫により病変は消失し, 慢性感染となる

・感染後6ヶ月程度で生じる二期梅毒
 全身にTreponemaが拡散し, 悪寒や発熱, 頭痛, 皮疹, リンパ節腫脹, 手掌や粘膜疹など.
 数週〜数ヶ月持続. 未治療ならば25%が4年以内に再発.
 病変消失後もリンパ節や脾臓に菌は残存し, 潜伏期となる.

・数年(数十年)経過して生じる三期梅毒
 未治療患者の1/3が移行.
 中枢神経, 心臓, 眼, 皮膚, 各臓器の障害を呈する:
  動脈瘤, 動脈炎, 心内膜炎, 髄膜炎, 脳実質への影響
  皮膚, 内臓, 骨で腫瘤を形成(ゴム腫)

この病期で, 骨病変を呈するのは二期と三期となる.

二期梅毒における骨病変
(Sex Transm Dis . 2014 Sep;41(9):532-7)
・二期梅毒における骨病変は稀であり, 1964-2013年のLiterature reviewでは, 二期梅毒における骨病変の報告は37例のみ
・部位は長幹骨, 頭蓋骨が多く, 他は肋骨, 鎖骨, 椎体, 胸骨
 骨破壊像を呈する
・病理では形質細胞やリンパ球の浸潤が認められる.

二期梅毒における骨病変の画像の例



三期梅毒では骨にゴム腫を形成する
(Medicine (2017) 96:50(e9098))
・画像の例


・ゴム腫の病理では, 肉芽腫形成が認められる.
 組織内にOnion-like sclerosing vasculitisを伴う例も報告されている(Clin Nucl Med 2019;44: 313–316)



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まとめられるほど症例報告やReviewがないものの,
梅毒による骨病変は
二期梅毒: 溶骨性変化. 形質細胞やリンパ球の浸潤が主
三期梅毒: ゴム腫形成. 肉芽腫形成が主

という病態となる.
双方とも転移性腫瘍や血液腫瘍との鑑別が重要となる.