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2020年2月4日火曜日

Occultな上部消化管出血をきたす病態. GAVE.

数年来の鉄欠乏性貧血でフォローされていた患者.
鉄を補充すると改善するが, 中止ですぐに増悪. 輸血も複数回している.

これまで複数回 上下部内視鏡を施行, また小腸内視鏡も施行ずみだが, 明らかな出血性病変は認められず.
ただし便潜血は陽性. 黒色便や血便, 吐血エピソードは無し


内視鏡検査結果を取り寄せ確認すると以下のような所見
幽門前庭部のみに認めており, 他の粘膜所見は異常無し.
(https://www.mediastorehouse.com/science-photo-library/gastric-antral-vascular-ectasia-9221447.html)


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GAVE: gastric antra vascular ectasia. 
胃前庭部毛細血管拡張症
(Ann Transl Med. 2019 Feb;7(3):46.)(Endoscopy. 2004 Jan;36(1):68-72.)
・胃の前庭部に生じる毛細血管拡張で赤い筋状の病変を生じ, スイカの皮様と称されることもある(Watermelon Stomach)
・慢性経過の上部消化管出血の原因になる
・非食道静脈瘤性の出血のうち4%程度
・原因不明の慢性の鉄欠乏性貧血でGAVEからのオカルト出血であった報告多い
・急性の重度の消化管出血となることもある.

Watermelon Stomach患者における臨床症状
・最も多いのは鉄欠乏性貧血
・黒色便は15%, 便潜血陽性は42%のみ.
(Am J Gastroenterol. 1998 Jun;93(6):890-5.)

GAVEの病因は未だ不明瞭であるが報告からは慢性肝疾患, 慢性腎疾患, 自己免疫性疾患, 結合織疾患との関連が示唆されている.
・GAVEに合併する疾患/病態
 SScや無胃酸症, PBC, 甲状腺機能低下症, 自己免疫性肝疾患, 肝硬変, 門脈圧亢進, 慢性腎疾患, 心疾患
(Am J Gastroenterol. 1998 Jun;93(6):890-5.)

考えられるGAVEの機序
・ホルモンの影響, 血管新生, 機械刺激により生じる.
背景疾患は肝臓・腎臓・代謝性・CTDTKI使用など様々
(Current Gastroenterology Reports (2018) 20:36 )

GAVEの治療
(GE Port J Gastroenterol 2017;24:176–182)
・内視鏡治療が用いられることが多い.

Argon Plasma Coagulation: 治療後早期の成績は良好であるが長期的には35-78.9%で再出血する報告がある

Endoscopic Band Ligation(EBL): 吐血や下血, 黒色便を認めるGAVE, APCで難治性の症例などで考慮する

Radiofrequency Ablation: APC治療を受けたことがある患者においてRFA67-86%の治療成功率が報告されている

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明らかな潰瘍や食道静脈瘤がなくても, 毛細血管拡張のみで慢性の繰り返す消化管出血の原因となる.
難治性の出血源不明の鉄欠乏性貧血では考慮しておきたい.