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2019年10月2日水曜日

敗血症に対する大量ビタミンCのRCT

2017年にChest(CHEST 2017; 151(6):1229-1238)から, 重症敗血症, 敗血症性ショック患者に対してHydrocortisone 50mg q6h, ビタミンC 1.5g q6h, チアミン 200mg q12hを投与することで院内死亡率が顕著に改善したとする報告がでて(単一施設, プロトコール導入前後の死亡リスクを比較), SNS界隈でもちょっと話題になった.


それから, 2019年に重症患者に対するビタミンCのMetaがでて,
それでは特に有意差は認めない結果であった.

(Crit Care Med 2019; 47:774–783)
重症患者に対するVit Cの効果を検討したMeta.
・44 RCTsを評価.
 このうち16 trialsICU(2857), 28 trialsは心臓外科手術
・投与量は様々 500mg2000mg/dを数日~ICU退室まで.

・ICU患者では, Vit Cは死亡リスク改善効果は認めず(RR 0.90[0.74-1.10])
 AKIリスクや滞在期間も有意差なし.
心臓外科手術患者では, 術後Afリスクは低下(RR 0.64[0.52-0.78])
 ICU滞在期間の短縮効果 -0.28[-0.43~-0.13]
 AKIリスク脳梗塞死亡リスクは有意差なし.


今回, JAMAより敗血症+ARDS患者を対象とした大量ビタミンC療法と, 臓器障害, 炎症マーカーへの影響を評価したRCTが発表

CITRIS-ALI: 敗血症+ ARDS患者におけるVit C投与と臓器障害, 炎症マーカーの変化を評価したDB-RCT.
(JAMA. 2019;322(13):1261-1270. doi:10.1001/jama.2019.11825 )
・患者は敗血症でICU管理となり, 24h以内にARDSと診断*された患者群
 *人工呼吸器管理下で, P/F <300, 両側性の浸潤影, 呼吸器症状の出現・増悪

Vit C 50mg/kg投与群 vs Placebo群に割り付け, 6時間毎に96h継続
 投与開始後のSOFAスコア, 炎症マーカーの変動を評価, 比較した

母集団
・肺炎がほぼ7-8
・ステロイドは6-7
・補液量や尿量は両者でほぼ同等

アウトカム
・CRPSOFA, Thrombomodulinは両群とも有意差なし

二次アウトカムでは,
・28日時点でのICU-free Daysが有意にVit C群で短縮: 3.2d[0.3-6.0]
・60日時点でのHospital-free Daysが有意に短縮: 7.0d[0.3-13.8]
・28日全死亡率が有意に低下
死亡リスクは今回のPrimary outcomeではなく, Nも不十分のため, このStudyでは結論はだせない.
差は投与期間に生じているため, SOFAや炎症マーカーには影響せずとも, 何かしらのVit Cによる死亡リスク軽減効果はあるかもしれないが, 判断のためには今後さらに追試が必要である.

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敗血症に対するビタミンC大量投与. 今後さらに評価されると思われますが, 結果を注視しようと思います。