6/26のJAMAより, PCI後のDAPTの期間を評価した(非劣性)RCTが2つ発表
現在のPCI後のDAPT期間は12ヶ月間が主流.
これまでにも3ヶ月間など短縮の報告はいくつかあった(OPTIMIZE trialなど)
今回は3ヶ月間の比較と, 日本国内から1ヶ月間の比較が発表.
SMART-CHOICE trial
韓国から3ヶ月間のDAPT vs 12ヶ月間の比較
韓国の33病院において, DESでPCIを施行した患者群を対象とした非劣性open-label RCT.
(JAMA. 2019;321(24):2428-2437. doi:10.1001/jama.2019.8146 )
・患者は20歳以上, 50%以上の冠動脈狭窄を認め, ステント留置部位の冠動脈直径が2.25-4.25mmでPCIを施行した患者群
・使用ステントは主にコバルトクロム合金型everolimus溶出ステント, プラチナクロム合金everolimus溶出ステント, Sirolimus溶出ステント(生分解性ポリマー)のいずれかを使用.
・除外: ASA, P2Y12阻害薬禁忌症例, Everolimus, Sirolimus禁忌症例, 血行動態不安定, 心原性Shock, 活動性の出血, 12ヶ月以内のDES留置, 挙児希望の女性, 予測余命2年未満
ASA + P2Y12阻害薬のDAPTを3ヶ月間, その後P2Y12阻害薬単独群と
DAPT 12ヶ月継続群に割り付け, 心血管アウトカムを比較.
母集団
12ヶ月アウトカム
・心血管イベントは両者で有意差なし
・BARC type 2-5の出血リスクは有意に3ヶ月DAPTで低い結果
・Sub解析では使用ステント別の評価でもアウトカムは影響しない.
STOPDAPT-2 trial
日本国内から, 1ヶ月間のDAPTを評価した非劣性RCT
日本国内の90病院でPCIを施行した患者群を対象とした非劣性open-label RCT.
(JAMA. 2019;321(24):2414-2427. doi:10.1001/jama.2019.8145 )
・患者はCoCr-EESでPCIを施行された患者群
(コバルトクロム合金型everolimus溶出ステント: ステント内血栓形成リスクが低いとされるステント)
・除外: 抗凝固薬やASA, P2Y12阻害薬以外の抗血小板薬を必要とする患者, 頭蓋内出血歴, Clopidogrel不耐が分かっている患者,
ASA + clopidogrel のDAPT 1ヶ月(30-59日間)継続後, Clopidogrel単剤とする群と
12ヶ月(335-394日間)のDAPTを継続, その後ASA単剤する群に割り付け, 心血管アウトカムを評価.
母集団
アウトカム
・心血管イベント+出血イベントの総合評価では, 有意に1ヶ月DAPT群で低い結果.
心血管イベントのみでは両者で有意差なし.
出血リスクは有意に1ヶ月DAPT群で低い.
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数年前にDAPTは12ヶ月でよい、という短期間のDAPTのエビデンスが揃い, 12ヶ月のDAPTが主流となった.
そして, これからはコバルトクロム合金型everolimus溶出ステント, プラチナクロム合金everolimus溶出ステント, Sirolimus溶出ステント(生分解性ポリマー)といった第三世代のDESが主流となり(すでに主流ですが), DAPT期間もさらに短縮される可能性がある.
その分出血リスクも低下する.
医学の進歩はすごいなぁ