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2019年2月14日木曜日

MRSAの除菌は感染リスクを低下させる

CLEAR trial: MRSAキャリアの入院患者を対象とし退院後除菌療法+教育 vs 教育のみに割り付けその後のMRSA感染症リスクを比較したRCT
(N Engl J Med 2019;380:638-50.)
・患者はカルフォルニアの17病院, 7施設に30日以内に入院・入所していた成人で, 自力・介助で入浴が可能な患者
 入院中もしくは30日以内のMRSAスクリーニングで陽性となった患者を対象とした.

・除菌は0.12%クロルヘキシジンを用いたうがい(12), 4%クロルヘキシジンリンスを用いたシャワー・入浴と, 鼻腔内ムピロシン塗布を1クール5日間, 1ヶ月に2クール, 6ヶ月間施行する.

・1年間フォローし, MRSA関連感染症の頻度を比較した.
 感染症の定義はCDC基準を用いて判断

母集団

アウトカム


MRSA関連の感染症は有意に除菌群で低下する. 
 HR 0.61[0.44-0.85]とおよそ4割減少する結果
予測MRSA感染予防NNT30[18-230]
 Any infectionの予防NNT26[13-212]
 入院予防NNT28[21-270]

特に減少するのは肺炎, SSI
 肺炎 0.026/pt-y vs 0.013/pt-y, %では教育群で1.7% vs 除菌群0.85%,
 SSI 0.019/pt-y vs 0.003/pt-y, %では教育群で1.2% vs 除菌群0.19%
 それぞれ約1%程度低下. NNT 100程度

・副作用は4.2%で認められたが, すべて軽度であった.
・ムピロシン耐性MRSAの出現頻度は両群で有意差なし.
 (初期に感受性があった群において, フォロー中に高度耐性を獲得したのは除菌群で1.4%, 教育のみの群で1.6%)

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MRSAキャリアにおける除菌(クロルヘキシジンやプピロシン軟膏鼻腔内塗布)は長期的なMRSA感染リスクは低下させる