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2019年1月23日水曜日

DIHSで好中球減少, 無顆粒球症

70歳台女性.
緑膿菌による持続的菌血症にてMEPMを使用中に全身性の皮疹, 発熱再増悪, 腎機能障害, Eo上昇(1000-2000程度), 異形リンパ球の出現があり, DIHSを考慮し, 抗菌薬を中止, 変更.

その2日後の血液検査にてWBC 2000台, Neu 6%と著明に好中球が低下.
フォローでもWBC 1800, Neu 数%と低下を認めた. その際のEoは10-20%程度.

それまでの経過では全く好中球減少や血球減少は認められず, 他に原因となるものも見当たらない.

DIHSによる好中球減少はあるのか?



最近のDIHSのレビューでは(Hosp Pract (1995). 2018 Aug;46(3):152-162. )
「希だが報告がある症候」に無顆粒球症が入っている

Pubmedで症例報告を探してみると, 以下の薬剤で報告があった.
・アロプリノール, サルファサラジン (Acta Derm Venereol 2016; 96: 842–843)
・フェニトイン (Brain & Development 31 (2009) 449–451)
・クロピドグレル(好中球減少) (Mayo Clin Proc. 2005;80(10):1368-1370)

このうち上記2つの報告は日本国内から.

抗菌薬での報告はないものの, この患者ではNeu以外にPLTの低下, 貧血も伴い,
網赤血球の低下, IPFの低下もあり, 急性経過の骨髄不全なのであろう.
経過からはDIHSの経過で矛盾はしないものの, 詰めるのが難しい.

対応は定まってはいないが, 症例報告ではG-CSFの使用が試されている.