海外ではLMWHが使用され, 血栓症リスクは低下する効果が示されているものの, 出血リスクも上昇してしまう.
(Apixaban to Prevent Venous Thromboembolism in Patients with Cancer. N Engl J Med)
AVERT: 化学療法を開始する予定の担癌患者でVTE 中~高リスク(Khorana score≥2)の574例を対象としたDB-RCT.
・Apixaban 2.5mg bid vs Placebo群に割り付け, 180日間フォロー
血栓症イベント, 出血イベントを評価した
・患者は新規発症, 再燃・再発した悪性腫瘍で, 新規化学療法レジメを開始する予定の成人患者.
さらにKhorana score≥2*を満たす.
・肝疾患で凝固障害を認める群, 皮膚の基底細胞癌, 扁平上皮癌のみの患者, 急性白血病・骨髄増殖性腫瘍, 幹細胞移植予定, 余命6ヶ月以内, eGFR≤30mL/min, PLT<5万は除外
・薬剤は化学療法開始後24時間以内に開始し, 180日間継続.
アウトカムは210日間もしくは死亡までフォロー
*Khorana VTEスコア(悪性腫瘍で化学療法を行う患者における, VTEリスクの評価)
項目
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点数
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悪性腫瘍
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胃癌, 膵臓癌
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2
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肺癌, リンパ腫, 婦人科腫瘍, 膀胱癌, 精巣腫瘍
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1
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血小板≥35万/µL
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1
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Hb<10g/dLもしくはエリスロポエチンの使用
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1
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白血球>11000/µL
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1
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BMI≥35
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1
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低リスク群(0): 2.5ヶ月でのVTEリスク0.3%
中リスク群(1-2): 2%
高リスク群(3以上): 6.7% (Blood. 2008 May 15;111(10):4902-7.)
母集団
アウトカム
・Apixabanは有意に血栓症リスクを軽減させる.
4.2% vs 10.2%, HR 0.41[0.26-0.65], NNT 17
・一方で出血リスクは増加
3.5% vs 1.8%, HR 2.00[1.01-3.95], NNH 59
・死亡リスクは有意差はないものの, Apixabanで上昇傾向がある
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悪性腫瘍で化学療法を行う患者では, Khorana VTEスコアを評価し,
中〜高リスク群ではDOACによる予防も考慮してもよいかもしれない.
しかしながらアジア人では欧米と比較してVTEリスク自体はやや低い印象もあり,
どの患者群で予防を行うかは吟味は必要と思う.