IgG4関連疾患では大動脈炎を認めることはよく知られている.
IgG4関連疾患160例のコホートでは, 36例(22.5%)で大動脈病変が認められた.
(Medicine (2016) 95:28(e3344) )
・大動脈壁に炎症の首座があるPrimaryと,
周辺組織に炎症があり, それが波及したSecondaryに分類すると,
Primaryは13例(8%). 頸動脈閉塞, 冠動脈瘤, 胸部大動脈炎+解離, 腹部大動脈炎, 腸骨静脈炎など様々.
Secondaryは23例で, ほぼ全てが大動脈周囲炎
これら症例の血液データ:
・興味深いのは炎症反応(ESRやCRP)がピンキリであること.
Activeな炎症のこともあれば, ほぼ陰性のことも.
IgG4関連大動脈炎では大動脈瘤となることが多いが, その場合外膜の炎症が主となる
(Curr Opin Rheumatol 2011;23:18-23)
・組織所見では好酸球浸潤, Lymphoid follicle形成, 閉塞性静脈炎, 神経周囲の炎症波及が有意に認められる.
好中球浸潤や中膜肥厚は非IgG4の炎症性動脈瘤を示唆する所見.
大動脈解離はどうか?
IgG4関連大動脈炎による大動脈解離の報告もある
・Stanford A大動脈解離で発症し, 切除検体より証明された症例報告.
解離していない大動脈壁厚は2.5mmで, 外膜の肥厚が認められた.
病理ではリンパ球の浸潤と線維化あり. IgG4+/IgG+形質細胞比>50%
(Immunoglobulin G Subclass 4-Related Lymphoplasmacytic Thoracic Aortitis in a Patient with Acute Type A Aortic Dissection. Ann Thorac Cardiovasc Sure 2017)
上行大動脈の拡張(>5.5cm, 解離を含む)で上行大動脈を切除し, 組織評価を行った101例のReview
(J Thorac Cardiovasc Surg 2013;146:1449-55)
・このうち解析できた91例中, IgG4染色陽性が12例. いずれも外膜で認められた.
・有意差は認めないが, IgG4陽性例のうち大動脈解離は42%である
一方でIgG4(-)では19%のみ. p=0.079
大動脈瘤, 解離で切除した376例のReview
(Int J Clin Exp Pathol 2013;6(9):1713-1722 )
・上行大動脈瘤が45%, 弓部瘤が2%, 下行3%, A型解離が46%, B型が4%
このうちリンパ形質細胞の浸潤を認めたのが15例.
・炎症部位は外膜が主となる.
・病変は大動脈瘤が9例, 解離が6例と解離もなかなかに多い.
---------------------------------------
・IgG4関連大動脈炎では, 炎症性動脈瘤, 解離, 大動脈周囲炎といったパターンがある.
多いのは周囲炎であるが, 炎症性大動脈瘤では外膜の炎症が主
また, 解離の原因となることも意外に多い.
・炎症反応は様々で認めないこともあり得る.
緩徐に増悪寛解を繰り返しながら進行して, 動脈瘤や解離となることもあるということか
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2018年5月30日水曜日
2018年5月24日木曜日
重症ARDSに対するECMOのRCT
EOLIA trial; 重症ARDS患者を対象としたRCT.
(N Engl J Med 2018;378:1965-75.)
・ARDSで
P/F <50が>3時間持続,
P/F <80が>6時間持続,
呼吸器設定でPplat≤32cmH2Oを維持するような呼吸器設定(FiO2≥0.8, VT 6mL/kg, PEEP 10cmH2Oの設定)で呼吸回数が35回まで増加し, 且つ動脈血液ガスpH<7.25でCO2 ≥60mmHgが>6時間持続数する患者群を対象.
・主治医は腹臥位呼吸や神経筋ブロックの併用を推奨され, 他の追加治療としてNO吸入, Recruitment法, High-frequency oscillatory ventilation, almitine infusionの使用は許可されている.
・除外項目: <18歳, 7日間を超える呼吸器管理, 妊婦, 体重kg>身長cm, BMI>45, 慢性呼吸器疾患で酸素投与やNIV導入されている患者, VA-ECMOが必要な心不全合併, HIT既往, 悪性腫瘍で予後5年以内, SAPS-II>90, 薬剤以外の昏睡, 心停止, 不可逆性神経障害, DNARなど
上記患者をすぐにVV-ECMO導入群 vs 通常治療群に割付け, 予後を比較
母集団
アウトカム: 60日死亡リスクは両者で有意差なし
control群の28%がECMOへ移行(6.5±9.7日)
合併症の頻度: 血小板減少や出血リスクはECMOで多い
--------------------------------
重症ARDSにおいて, 初期からECMOを導入することは予後改善効果は認めず, 出血副作用や血小板減少を増悪させる可能性がある.
他の管理を行い, その後にECMOの適応を考慮するのでもよいかもしれない,
ただし予後改善傾向はあり(p=0.09), 今後の追加報告によってはどうなるか
(N Engl J Med 2018;378:1965-75.)
・ARDSで
P/F <50が>3時間持続,
P/F <80が>6時間持続,
呼吸器設定でPplat≤32cmH2Oを維持するような呼吸器設定(FiO2≥0.8, VT 6mL/kg, PEEP 10cmH2Oの設定)で呼吸回数が35回まで増加し, 且つ動脈血液ガスpH<7.25でCO2 ≥60mmHgが>6時間持続数する患者群を対象.
・主治医は腹臥位呼吸や神経筋ブロックの併用を推奨され, 他の追加治療としてNO吸入, Recruitment法, High-frequency oscillatory ventilation, almitine infusionの使用は許可されている.
・除外項目: <18歳, 7日間を超える呼吸器管理, 妊婦, 体重kg>身長cm, BMI>45, 慢性呼吸器疾患で酸素投与やNIV導入されている患者, VA-ECMOが必要な心不全合併, HIT既往, 悪性腫瘍で予後5年以内, SAPS-II>90, 薬剤以外の昏睡, 心停止, 不可逆性神経障害, DNARなど
上記患者をすぐにVV-ECMO導入群 vs 通常治療群に割付け, 予後を比較
母集団
アウトカム: 60日死亡リスクは両者で有意差なし
control群の28%がECMOへ移行(6.5±9.7日)
合併症の頻度: 血小板減少や出血リスクはECMOで多い
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重症ARDSにおいて, 初期からECMOを導入することは予後改善効果は認めず, 出血副作用や血小板減少を増悪させる可能性がある.
他の管理を行い, その後にECMOの適応を考慮するのでもよいかもしれない,
ただし予後改善傾向はあり(p=0.09), 今後の追加報告によってはどうなるか
2018年5月23日水曜日
SFTSとリケッチア症の鑑別
SFTSはもともとリケッチア症の流行地域で発見され(中国のハンセン)
色々検査したけどもリケッチアじゃなさそうで, それで発見されたウイルス感染症.
ということで症状が非常に類似しており, 鑑別が難しい.
双方とも発熱やインフルエンザ症状, 血小板減少があり, 流行地域も類似. 媒介動物も類似.
これらを比較した報告がいくつか、といっても2つ見つけたのでご紹介
SFTS 21例とツツガムシ病91例を比較し, 両者で異なる点を評価:
(Clinical Infectious Diseases® 2018;66(10):1621–4)
・意識障害, 白血球減少(<4000/µL), aPTT延長(>35秒), CRP正常の4項目はSFTSに特異的であり 2/4項目以上を満たす場合感度100%[84-100], 特異度97%[90-99]でSFTSを示唆する所見となる結果.
・ただしValidationはない点に注意
日本国内で臨床的にリケッチア症を疑われた222例の血清において, SFTS virus抗体を評価した報告
(J Infect Chemother 23 (2017) 45-50)
・このうち1例でSFTSV抗体, PCR陽性であった. 山口県在住.
・この患者のデータ推移: 白血球が高度に低下しており, CRPは正常.
この論文より, 以前国内から発表された10例のSFTS症例と, リケッチア症11例を比較
・リケッチア症と比較して, SFTSはCRPが正常〜軽度の上昇程度.
WBCが高度低下している点が特徴的と言える.
先の論文と結論は一致.
色々検査したけどもリケッチアじゃなさそうで, それで発見されたウイルス感染症.
ということで症状が非常に類似しており, 鑑別が難しい.
双方とも発熱やインフルエンザ症状, 血小板減少があり, 流行地域も類似. 媒介動物も類似.
これらを比較した報告がいくつか、といっても2つ見つけたのでご紹介
SFTS 21例とツツガムシ病91例を比較し, 両者で異なる点を評価:
(Clinical Infectious Diseases® 2018;66(10):1621–4)
・意識障害, 白血球減少(<4000/µL), aPTT延長(>35秒), CRP正常の4項目はSFTSに特異的であり 2/4項目以上を満たす場合感度100%[84-100], 特異度97%[90-99]でSFTSを示唆する所見となる結果.
・ただしValidationはない点に注意
日本国内で臨床的にリケッチア症を疑われた222例の血清において, SFTS virus抗体を評価した報告
(J Infect Chemother 23 (2017) 45-50)
・このうち1例でSFTSV抗体, PCR陽性であった. 山口県在住.
・この患者のデータ推移: 白血球が高度に低下しており, CRPは正常.
この論文より, 以前国内から発表された10例のSFTS症例と, リケッチア症11例を比較
・リケッチア症と比較して, SFTSはCRPが正常〜軽度の上昇程度.
WBCが高度低下している点が特徴的と言える.
先の論文と結論は一致.
両者の鑑別のポイントはWBCとCRPが重要かもしれない
(以前京都GIMで福知山から発表されたツツガムシ病のスライドも引っ張り出して確認しましたが, aPTTは記載なく, 他はWBC 4000程度, CRP上昇あり, 意識障害なしでした)
2018年5月18日金曜日
複数弁の心内膜炎 と S. bovis心内膜炎
大腸癌がある患者で大動脈弁と僧帽弁に疣贅が認められた.
複数弁の心内膜炎を疑ったが, 複数弁の心内膜炎ってあまり経験がない.
いろいろ調べてみよう.
複数弁の心内膜炎 = Multivalvular Endocarditisについて
複数の弁(主に2箇所)で生じるIEをMultivalvular Endocarditisと呼び, 心内膜炎の15%で認められる.
・Left-sided(M弁とA弁)ではA弁の心内膜炎がM弁に波及するパターンがほとんど.
他にはRight-sided, Left-sidedの合併するケースもある.
・単一弁の心内膜炎よりも重度で, 心不全合併率も高いとされる
また手術治療を必要とするケースが多く, 手技も複雑となる
(Curr Infect Dis Rep (2010) 12:237–243)
フランスのNancy大学病院において, 10年間で治療したIE症例300例(Duke基準で診断)のうち, 42例(14%)がMultivalvular
また, 他の511例のIE症例の解析では, 88例(17%)がMultivalvularであった.
(Curr Infect Dis Rep (2010) 12:237–243)
単一弁と複数弁のIE症例の比較
・年齢や性別には差はない.
・部位はM弁+A弁が7-8割を占める
・背景心疾患も大きな差はない.
診療症状, エコー所見
・心不全合併率や心外症状は複数弁IEで若干多め
・エコー所見も若干複数弁IEで疣贅は目立ち, 逆流も多い
Multivalvularでレンサ球菌, 特にD群レンサ球菌が多い
・Staphylococciや口腔内レンサ球菌は少ない
・D群レンサ球菌: Enterococcus faecalis, faeciium, durans, Streptococcus bovis
S. bovisとEnterococcusによるIEを比較
1988-2014年に診断されたS. bovisによるIE 109例とEnterococcusによるIE 36例を評価, 比較した報告.
・S. bovis菌血症の48.8%でIEを合併. 特にS. gallolyticus
Enterococcus菌血症では3.4%でIEを合併
・MultivalvularはS. bovis IEの28.4%で認められる.
Enterococcusでは5.6%のみ
・症状の期間は30-50日以上
・大腸腫瘍はS. bovisの64.2%, Enterococcusの25%で認められる
S. bovisによるIEといえば, 大腸癌に起因する原因菌として有名
ここでS. bovisと悪性腫瘍について調べてみる
45例のS bovis 菌血症例の解析
(Arch Surg. 2004;139:760-765)
・内12例(27%)で心内膜炎を合併.
・腫瘍は26/45(58%).
大腸腺腫性ポリープ14例, 浸潤性大腸癌3例, 十二指腸腺癌1例, 膵癌3例, 胆嚢癌1例, 肺癌1例, 卵巣癌1例, CML 1例, CLL 1例.
・消化管外の悪性腫瘍も多く認められる.
・現在までの症例報告をまとめると, S bovis菌血症患者における大腸腫瘍の合併率は6-71%.
>> 原則全例で下部内視鏡評価が推奨される.
また, 下部内視鏡陰性でも, 他部位の悪性腫瘍合併の可能性も残る.
S. bovis菌血症, IE患者の症例レポート, シリーズのMetaでは,
(Clinical Infectious Diseases 2011;53(9):870–878)
・S. bovis菌血症患者のうち, 大腸腺腫, 腫瘍を認める割合は39%[IQR24%]
S. bovis菌血症 + 大腸精査施行群で限定すると, 60%[IQR22%]と高率.
大腸癌合併率は18%[IQR13%], 腺腫合併率は43%[IQR22%].
また, S. bovisには3種類あり, S. gallolyticusはより大腸病変, IEとの関連が強い.
・S. bovisには3種類のbiotypeがある; I, II/1, II/2.
・S. bovis type I(S. gallolyticus)はtype IIよりも大腸病変との関連性が高い
・type IIと比較して, 大腸癌, 腺腫のリスク OR 7.26[3.94-13.36]
感染性心内膜炎合併リスク OR 16.61[8.85-31.16].
S bovis菌血症 or IEで, CF試行した98名と, 無症候性で大腸癌家族歴(+) or 症状, リスク(+)のControl群を比較.
(Clinical Infectious Diseases 2012;55(4):491–96)
・S bovisはS gallolyticus (type I)のみ.
・S bovis感染症98名中, 大腸病変を認めたのは69例.(Adenoma 57例(進行性39例), 進行癌 12例)
ということで, S. bovisと大腸腫瘍には関連はありそうである.
------------------------------
まとめると
・複数弁のIEではD群レンサ球菌が多い.
特にS. bovisは原因菌として多いので覚えておきたい. S. gallolyticusが関連している
・さらにS. bovisは大腸腫瘍や悪性腫瘍との関連がある.
ということで冒頭の症例は結構典型的なS. bovisによるIEなのかもしれない.
稀な病態の典型例といえようか
複数弁の心内膜炎を疑ったが, 複数弁の心内膜炎ってあまり経験がない.
いろいろ調べてみよう.
複数弁の心内膜炎 = Multivalvular Endocarditisについて
複数の弁(主に2箇所)で生じるIEをMultivalvular Endocarditisと呼び, 心内膜炎の15%で認められる.
・Left-sided(M弁とA弁)ではA弁の心内膜炎がM弁に波及するパターンがほとんど.
他にはRight-sided, Left-sidedの合併するケースもある.
・単一弁の心内膜炎よりも重度で, 心不全合併率も高いとされる
また手術治療を必要とするケースが多く, 手技も複雑となる
(Curr Infect Dis Rep (2010) 12:237–243)
フランスのNancy大学病院において, 10年間で治療したIE症例300例(Duke基準で診断)のうち, 42例(14%)がMultivalvular
また, 他の511例のIE症例の解析では, 88例(17%)がMultivalvularであった.
(Curr Infect Dis Rep (2010) 12:237–243)
単一弁と複数弁のIE症例の比較
・年齢や性別には差はない.
・部位はM弁+A弁が7-8割を占める
・背景心疾患も大きな差はない.
診療症状, エコー所見
・心不全合併率や心外症状は複数弁IEで若干多め
・エコー所見も若干複数弁IEで疣贅は目立ち, 逆流も多い
Multivalvularでレンサ球菌, 特にD群レンサ球菌が多い
・Staphylococciや口腔内レンサ球菌は少ない
・D群レンサ球菌: Enterococcus faecalis, faeciium, durans, Streptococcus bovis
S. bovisとEnterococcusによるIEを比較
1988-2014年に診断されたS. bovisによるIE 109例とEnterococcusによるIE 36例を評価, 比較した報告.
・S. bovis菌血症の48.8%でIEを合併. 特にS. gallolyticus
Enterococcus菌血症では3.4%でIEを合併
・MultivalvularはS. bovis IEの28.4%で認められる.
Enterococcusでは5.6%のみ
・症状の期間は30-50日以上
・大腸腫瘍はS. bovisの64.2%, Enterococcusの25%で認められる
ということでMultivalvularはD群レンサ球菌でも, さらにS. bovisで特に多いと言える
S. bovisによるIEといえば, 大腸癌に起因する原因菌として有名
ここでS. bovisと悪性腫瘍について調べてみる
45例のS bovis 菌血症例の解析
(Arch Surg. 2004;139:760-765)
・内12例(27%)で心内膜炎を合併.
・腫瘍は26/45(58%).
大腸腺腫性ポリープ14例, 浸潤性大腸癌3例, 十二指腸腺癌1例, 膵癌3例, 胆嚢癌1例, 肺癌1例, 卵巣癌1例, CML 1例, CLL 1例.
・消化管外の悪性腫瘍も多く認められる.
・現在までの症例報告をまとめると, S bovis菌血症患者における大腸腫瘍の合併率は6-71%.
>> 原則全例で下部内視鏡評価が推奨される.
また, 下部内視鏡陰性でも, 他部位の悪性腫瘍合併の可能性も残る.
S. bovis菌血症, IE患者の症例レポート, シリーズのMetaでは,
(Clinical Infectious Diseases 2011;53(9):870–878)
・S. bovis菌血症患者のうち, 大腸腺腫, 腫瘍を認める割合は39%[IQR24%]
S. bovis菌血症 + 大腸精査施行群で限定すると, 60%[IQR22%]と高率.
大腸癌合併率は18%[IQR13%], 腺腫合併率は43%[IQR22%].
また, S. bovisには3種類あり, S. gallolyticusはより大腸病変, IEとの関連が強い.
・S. bovisには3種類のbiotypeがある; I, II/1, II/2.
・S. bovis type I(S. gallolyticus)はtype IIよりも大腸病変との関連性が高い
・type IIと比較して, 大腸癌, 腺腫のリスク OR 7.26[3.94-13.36]
感染性心内膜炎合併リスク OR 16.61[8.85-31.16].
S bovis菌血症 or IEで, CF試行した98名と, 無症候性で大腸癌家族歴(+) or 症状, リスク(+)のControl群を比較.
(Clinical Infectious Diseases 2012;55(4):491–96)
・S bovisはS gallolyticus (type I)のみ.
・S bovis感染症98名中, 大腸病変を認めたのは69例.(Adenoma 57例(進行性39例), 進行癌 12例)
ということで, S. bovisと大腸腫瘍には関連はありそうである.
まとめると
・複数弁のIEではD群レンサ球菌が多い.
特にS. bovisは原因菌として多いので覚えておきたい. S. gallolyticusが関連している
・さらにS. bovisは大腸腫瘍や悪性腫瘍との関連がある.
ということで冒頭の症例は結構典型的なS. bovisによるIEなのかもしれない.
稀な病態の典型例といえようか