有名なところでは重症筋無力症, 赤芽球癆, 辺縁系脳炎, 橋本病
他にはSLEやシェーグレン, MCTD, 全身性硬化症, RA
血液疾患では再生不良性貧血, ITP, AIHA
(Adv Clin Exp Med. 2017;26(2):237–243)
組織で証明された胸腺腫 85例の解析
(Autoimmunity Reviews 15 (2016) 82–92)
・このうち47例で自己免疫疾患を合併(55%)
重症筋無力症が33例と最多
橋本病 4例, Isaac症候群 3例(VGKC抗体関連の四肢の筋けいれん, ミオクローヌスなど生じる病態), Morvan症候群 2例(さらに自律神経症状を伴う重症型),
PRCA 2例, SLE 2例, Lichen planus 2例
他, 再生不良性貧血, AIHA, 辺縁系脳炎, Good症候群, Pemphigus, 自己免疫性肝炎, Graves病が各1例
・32例は胸腺腫診断前に自己免疫疾患を診断, 9例は同時に診断, 7例は胸腺腫切除後に発症, 診断された.
胸腺腫では自己免疫疾患のみならず, 免疫不全を伴うことが知られている
具体的には, T細胞の減少, B細胞の減少, 低ガンマグロブリン血症(Good症候群)
18例の胸腺腫症例の評価(うち6例で再発性の感染症あり)では,
T細胞の減少が22%
B細胞の減少が50%
IgG,A,M全部のγグロブリンの減少が22%(4例)で認められた.
(Ann Hematol (2003) 82:343–347)
・正常値:
IgG 7-16g/L, IgA 0.7-4.1g/L, IgM 0.4-2.3g/L
CD3+ T cell: 65-85%, 1000-1500/µL
CD19+ B cell: 7-15%, 70-225/µL
・B細胞数の低下症例9例中, 低γグロブリン合併(IgG正常下限含む)は5例.(低γグロブリン例の5/7)
・再発性の感染症を呈した患者は●
Good症候群
Good症候群は胸腺腫, 低γグロブリン血症, B細胞の消失/減少, T細胞の減少, CD4+/CD8+ T細胞比の逆転, T細胞のMitogen proliferative responseの低下を特徴とする病態
・後天性免疫不全の1つであり, Encapsulated bacteria, 真菌, ウイルスの繰り返す感染症を呈する.
・イメージとしてはCVIDでB細胞が消失し, なおかつ胸腺腫を伴う病態.
(Chin Med J 2017;130:1604‐9. )(Ann Allergy Asthma Immunol. 2007 February ; 98(2): 185–190. )
中国人のGood症候群 47例の解析
(Chin Med J 2017;130:1604‐9.)
・血液検査所見
・自己免疫疾患の合併
・感染症合併頻度
Good症候群152例の解析
(Clinical Immunology (2010) 135, 347–363)
・胸腺腫+低γグロブリン血症を満たすCase reportを検索し, データをReviewした.
・患者の診断時年齢は59.1歳, (25-90歳)
女性79例, 男性73例とほぼ同等
・低γグロブリン血症や感染症, 下痢の前に胸腺腫が判明していた症例は42.4%. 3ヶ月~18年先行して認めていた
上記出現後に診断されたのは19.7%. 3ヶ月~15年遅れて診断
・治療後に免疫不全の改善を認めたのは37.5%のみ. 変化なしが18%,
44.5%は経過観察期間に死亡し,このうち59.6%は感染症による死亡であった.
・血液検査データ
・感染症の合併
同じ後天性の低ガンマグロブリン血症を呈する免疫不全であるCVID(Common variable immunodeficiency)とGood症候群の比較
フランスにおける免疫不全のCohort study(DEFI).
(Clinical Infectious Diseases® 2015;61(2):e13–9 )
・低γグロブリン血症はIgG<5g/L, IgA<0.7g/L, IgM<0.4g/Lで定義
・成人例の特発性低γグロブリン血症症例の評価にてGood syndromeは21例.
CVIDが440例(このうちB細胞陰性CVID*39例)
*末梢血B細胞<1%で定義
3群の比較
・Good syndromeは最も高齢で発症
また菌血症や肺炎の頻度が高く自己免疫疾患の合併も多い.
・脾腫を伴うことは少ない
免疫グロブリンの分布
・免疫グロブリンはGS, CVIDで差はない.
CD4+ T細胞はGSで低くなる.
・GSでは404/µL[340-714],
・CVIDでは842/µL[413-842]
・B-CVIDでは575/µL[313-778]
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自己免疫疾患を伴いながら、免疫不全も呈するというのがCVIDと胸腺腫の興味深いところです.