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2017年11月11日土曜日

好酸球性血管浮腫

好酸球が関連する血管浮腫には繰り返すEpisodic(Gleich症候群)と繰り返さないNonepisodicの2つのタイプがある.
・双方ともサイトカインを介した機序で血管浮腫を呈する
・Episodicが1-2割, Nonepisodicが8-9割を占め, アジア人からの報告が多い
(Dermatology 1998;197:321-325)(Allergy Asthma Immunol Res. 2014 July;6(4):362-365. )

Episodic angioedema with eosinophilia(EAE)
(Immunol Allergy Clin N Am 2006;26:769-81)
・再発性の好酸球増多を伴う血管浮腫 ± じんま疹
・男: = 1:2, 平均発症年齢は15.9yr, と若年女性に多い.
・10-20%の体重増加を伴い, 発熱も伴うことが多い.
好酸球増多以外にはIgM, IgEの上昇も認められる.
白血球増多も著明であり, 最大で10/µL(Eo 88%)となる.
他の臓器障害は来さない.

血管浮腫の機序はいまだ不明確
・IL-5Eosinophilia, 血管浮腫に関与している可能性が高い

EAEの臨床経過

・Eo上昇を伴う, 再発性の血管浮腫, じんま疹
 掻痒感, 発熱, 体重増加, IgM上昇, 乏尿, WBC上昇も認める.
・数週間数ヶ月毎に生じることが多く発作の間は完全に無症状となる.
・月経周期や妊娠に関連することも.
血中のEoは症状に相関する.
他の臓器障害(-)ならば予後良好
現在はEAEHES1つとして考えられている.
・治療は低用量ステロイドで, PSL 10mg/d程度で著効する

Non-episodic angioedema with eosinophilia(NEAE)
(Clin Rheumatol (2006) 25: 422425)
・EAEと比較して軽症であり, 再発を認めないtype
じんま疹を伴わない両手足の浮腫で, Eo上昇を伴う若年(20-40yr)女性が典型的. 男性例は先ず無し.
・平均発症年齢は25.9yr[21-37]
地域性も強く, 報告例の殆どが日本と韓国.
季節性も強く, 秋に多い傾向.(69%9-11月発症)
・インフルエンザワクチン接種後や肺炎球菌性肺炎, マイコプラズマ肺炎罹患後の発症例の報告もあり
高熱を伴うことは無く, 好酸球増多もEAEよりも軽度.
・IgMEAEでは上昇することが多いが, NEAEでは3.3%のみ.
浮腫の部位も, NEAEでは手足の浮腫が多いがEAEでは四肢の近位部, 顔面に浮腫が及ぶことがある.
・NEAEで皮膚病変(じんま疹)を伴うのは33%.
浮腫, 好酸球増多(4900-10400/µL)3ヶ月以内に改善する.¥

日本人女性のNEAE 33例のLiterature review
(Dermatology 1998;197:321-325)

・20-37歳でじんま疹は1/3で認める
症状の期間は1-2M持続

NEAEの組織所見
(Am J Dermatopathol 2016;38:124–130) 
・NEAE 12例の皮下組織所見を評価したところ3タイプに分類された.
 好酸球性肉芽腫性脂肪織炎が7/12と最多.
 好酸球性皮膚炎で肉芽腫性脂肪織炎を伴わないのが3/12
 Invisible dermatosis2/12




37例のLiterature review(日本人36)では
 好酸球性肉芽腫が10
 好酸球性皮膚炎が22,
 Invisible dermatosis5
・平均年齢は29.1[21-45]
じんま疹は
 好酸球性肉芽腫(+)4/8(50%)
 好酸球性皮膚炎で12/22(55%)
 Invisible dermatosis1/4(25%) で認められた.

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個人的な経験からも, やはり秋頃に診療する機会が多いと思います
毎年〜数年に1回、秋頃に診療するため, なんか季節感を感じる疾患の1つです