好酸球が関連する血管浮腫には繰り返すEpisodic(Gleich症候群)と繰り返さないNonepisodicの2つのタイプがある.
・双方ともサイトカインを介した機序で血管浮腫を呈する
・Episodicが1-2割, Nonepisodicが8-9割を占め, アジア人からの報告が多い
(Dermatology 1998;197:321-325)(Allergy Asthma Immunol Res. 2014 July;6(4):362-365. )
Episodic angioedema with eosinophilia(EAE)
(Immunol Allergy Clin N Am 2006;26:769-81)
・再発性の好酸球増多を伴う血管浮腫 ± じんま疹
・男:女 = 1:2, 平均発症年齢は15.9yr, と若年女性に多い.
・10-20%の体重増加を伴い, 発熱も伴うことが多い.
・好酸球増多以外にはIgM, IgEの上昇も認められる.
・白血球増多も著明であり, 最大で10万/µL(Eo 88%)となる.
・他の臓器障害は来さない.
血管浮腫の機序はいまだ不明確
・IL-5がEosinophilia, 血管浮腫に関与している可能性が高い
EAEの臨床経過
・Eo上昇を伴う, 再発性の血管浮腫, じんま疹
掻痒感, 発熱, 体重増加, IgM上昇, 乏尿, WBC上昇も認める.
・数週間〜数ヶ月毎に生じることが多く, 発作の間は完全に無症状となる.
・月経周期や妊娠に関連することも.
・血中のEoは症状に相関する.
・他の臓器障害(-)ならば予後良好
・現在はEAEはHESの1つとして考えられている.
・治療は低用量ステロイドで, PSL 10mg/d程度で著効する
Non-episodic angioedema with eosinophilia(NEAE)
(Clin Rheumatol (2006) 25: 422–425)
・EAEと比較して軽症であり, 再発を認めないtype
・じんま疹を伴わない両手足の浮腫で, Eo上昇を伴う若年(20-40yr)女性が典型的. 男性例は先ず無し.
・平均発症年齢は25.9yr[21-37]
・地域性も強く, 報告例の殆どが日本と韓国.
・季節性も強く, 秋に多い傾向.(69%が9-11月発症)
・インフルエンザワクチン接種後や肺炎球菌性肺炎, マイコプラズマ肺炎罹患後の発症例の報告もあり
・高熱を伴うことは無く, 好酸球増多もEAEよりも軽度.
・IgMはEAEでは上昇することが多いが, NEAEでは3.3%のみ.
・浮腫の部位も, NEAEでは手足の浮腫が多いが, EAEでは四肢の近位部, 顔面に浮腫が及ぶことがある.
・NEAEで皮膚病変(じんま疹)を伴うのは33%.
・浮腫, 好酸球増多(4900-10400/µL)は3ヶ月以内に改善する.¥
日本人女性のNEAE 33例のLiterature review
(Dermatology 1998;197:321-325)
・20-37歳で, じんま疹は1/3で認める
・症状の期間は1-2M持続
NEAEの組織所見
(Am J Dermatopathol 2016;38:124–130)
・NEAE 12例の皮下組織所見を評価したところ, 3タイプに分類された.
好酸球性肉芽腫性脂肪織炎が7/12と最多.
好酸球性皮膚炎で肉芽腫性脂肪織炎を伴わないのが3/12
Invisible dermatosisが2/12
37例のLiterature review(日本人36例)では,
好酸球性肉芽腫が10例,
好酸球性皮膚炎が22例,
Invisible dermatosisが5例
・平均年齢は29.1歳[21-45]
・じんま疹は
好酸球性肉芽腫(+)で4/8(50%)
好酸球性皮膚炎で12/22(55%)
Invisible dermatosisで1/4(25%) で認められた.
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個人的な経験からも, やはり秋頃に診療する機会が多いと思います
毎年〜数年に1回、秋頃に診療するため, なんか季節感を感じる疾患の1つです