・卵巣癌や肺癌, 乳癌, 大腸癌, 膵癌で上昇する一方,
非腫瘍性疾患でも上昇する. 子宮内膜症, 肝硬変, 心不全など
血清CA-125は活動性結核でも上昇することが知られている
活動性の肺結核40名, 非活動性の肺結核20名, Control 36名で評価
(Respir Med. 2001 Aug;95(8):666-9.)
・血清CA-125値(U/mL); Baselineと治療開始後の評価
Group |
Baseline |
2mo |
4mo |
6mo |
3yr |
活動性肺結核 |
77.5[81.8-137.5] |
28[27.4-48.1] |
12[12.0-20.8] |
8.8[8.5-13.5] |
9.0[8.5-12.2] |
非活動性肺結核 |
13.5[10.8-18.2] |
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健常人(Control) |
10.0[8.1-13.9] |
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活動性結核42例, 非活動性結核35例, 健常人20例においてCA-125を評価した報告
(Clin Invest Med 2012; 35 (4): E223-E228. )
・活動性結核では治療開始後もフォローした.
・活動性結核(Group 1)は非活動性結核(Group 2), 健常人(Group 3)と比較して有意にCA-125は高値となる結果
・また, 治療後はCA-125は低下する.
64例の結核患者においてCA-125値をフォローした報告
(Jpn. J. Infect. Dis., 64, 367-372, 2011)
・肺結核が40例, 胸膜炎が13, 心外膜炎8, 腹膜炎3例
・肺結核の45%, 結核性漿膜炎の全例でCA-125は上昇.
・結核性漿膜炎症例の方がCA-125は高値であった.
・また, 治療とともにCA-125は低下を認めた.
活動性肺結核 100例を前向きにフォローした報告
(Tuberculosis 93 (2013) 222e226 )
・CA-125は38.9±41.4U/mL. 38%で上昇していた.
・CA-125上昇に関連する因子は女性, 喀痰抗酸菌染色陽性例, 肺空洞性病変, 広範囲の病変.
・治療開始後は有意にCA-125は低下する
(Yonsei Med J 54(5):1241-1247, 2013 )
・結核性腹膜炎ではCA-125は3桁程度
1000U/mLを超える場合は卵巣癌の可能性が高い
他の疾患ではCA-125はどうか?
各肺疾患と血清CA 125の評価
(Jpn J Infect Dis 2008;61:68-9)
Group |
CA 125(U/mL) |
活動性肺結核(30) |
118.46(248.41) |
非活動性肺結核(37) |
40.80(50.95) |
肺, 胸膜悪性腫瘍(25) |
57.77(65.59) |
市中肺炎(28) |
47.76(60.76) |
COPD急性増悪(13) |
50.02(74.15) |
その他(13) |
76.45(54.46) |
・他の胸部疾患でも上昇はするが, 活動性肺結核の方が上昇は高度となる.
・活動性肺結核35名, 他の胸部疾患54名の評価ではCA 125>32.5U/mLはSn 68.6%, Sp 77.8%で肺結核を示唆する
NTMにおけるCA-125はどうか?
(Respirology (2010) 15, 357–360 )
・NTM症例 53例でCA-125を評価した報告
・28例の肺結核症例と比較した.
・両群でCA-125値は有意差なし
・また, NTMの臨床経過とCA-125の変動も一致する
血清ではなく, 腹水, 胸水CA-125はなんでも上昇するため注意
非癌性の胸水 38例, 腹水 46例において, 胸水, 腹水CA-125を評価.
・胸水貯留はTB, 膿胸, 肝硬変, デング熱, 心拡大, 肺アメーバ
・腹水貯留は卵巣癌, 感染性, TB, アルコール性肝炎, 肝炎, 肝硬変, 腎不全等.
・CA-125はほぼ全例で上昇したとの結果(CA-125 >65U/mL)
・胸水, 腹水中CA-125の値.
結核と感染症は高値となりやすい.
・CA-125を評価するならば血清にしておくべきで, 体液中のCA-125上昇には意義は乏しい
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・原因不明の腹水貯留でCA-125が上昇している場合, 卵巣癌が思い浮かぶと思いますが, 結核も合わせて想起したいところ.
・活動性結核と血清CA-125値には相関性があり, 治療により低下する
・特に結核性漿膜炎や, 肺結核でも喀痰抗酸菌染色陽性, 空洞性病変, 広範囲の病変ではCA-125は高値となりやすい
・結核ではCA-125が1000U/mLを超える場合もあることはあるが, 基本的に3桁程度までと考えるべき. 4桁行く場合はやはり癌を考えた方が良いかもしれない.
・また結核以外にもNTMでも上昇するし, 他の疾患でも上昇する可能性はあるため注意.
子宮内膜症, 肝硬変, 心不全は有名. これらによる胸水貯留, 腹水貯留ではないかどうかは気にしておくべき.
・胸水, 腹水中のCA-125はなんでも上昇するため, 鑑別には役に立たない.