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2017年4月27日木曜日

脊椎関節炎におけるHLA型

脊椎関節炎, 血清陰性関節炎ではHLA-B27との関連性が高く, 診断基準にも含まれている.

白人における疾患とHLA-B27保有率は以下のとおり
(Ann Intern Med 2002;136:896-907)
Disease
HLA-B27保有率
Ankylosing Spondylitis
90%
Reactive Arthritis
40-80%
Juvenile Spondyloarthropathy
70%
Enteropathic(IBD)
35-75%
Psoriatic
40-50%
その他 分類不能
70%
急性前眼房性ぶどう膜炎
50%
A弁閉鎖不全 + ブロック
80%

HLA-B27保有者の中で, 発症するのは10%のみであり, スクリーニングは必要なし
家族内で発症者(+) + 本人のHLA-B27(+) 発症率は30%

地域別のHLA-B27保有率は以下のとおり
(Current Opinion in Rheumatology 2001;13:285-90)
地域
HLA-B27保有率
SpA有病率
白人
10%
0.1-0.9%
インドネシア
10%

中国
8%
0.2%
日本
1%
0.01%
・日本人におけるHLA-B27保有率1%に満たず, したがって脊椎関節炎の頻度も低い.

上記のHLA-B27以外に関連するものはあるか?

HLA-B27と交叉反応を示すタイプにHLA-B7, B22, B39, B40, B42, B60があり, これらも脊椎関節炎発症と関連性があると指摘されている (Modern Physician 2010;30:1525-28).

日本国内の症例におけるHLAタイプ
(J Orthop Sci (2015) 20:1070–1077)
・ばらつきはあるが, これらタイプも関連性がある可能性.

インドにおけるHLA-B27陰性SpA症例100例の解析
(Hindawi Publishing Corporation Autoimmune Diseases Volume 2014, Article ID 327315)
・HLA-B7は有意にSpAリスクとなるタイプ
HLA-B40はリスク減少

コロンビアにおける健常人100例とSpA 178例の解析では, SpAに関連するHLA型はHLA-B27B15のみ.
(BMJ Open 2015;5:e009092.)
・HLA-B2770, HLA-B1534例で認められた.

・HLA-B15とHLA-B27は脊椎関節炎のリスク因子となる


HLA-B27陽性例と陰性例で差はあるか?
708例の炎症性背部痛(654例で1つ以上のSpAクライテリアを満たした)症例において, HLA-B27陽性群, 陰性群を比較
・患者は18-50歳で, 3ヶ月以上, 3年未満の炎症性背部痛を認め, SpAを示唆する症状を有する群を対象
HLA-B27陽性例は61.5%で認められた.

両群の比較

・HLA-B27陽性例では男性が占める割合が高い(51.2% vs 37.4)
またHLA-B27陽性率は若年発症ほど高い

陽性例の方がMRIにおける関節炎症所見が高度となる