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2017年2月3日金曜日

抜管前のカフリークテスト(CLT)陽性ならば喉頭ファイバーを考慮する

抜管後の喉頭浮腫, 気道閉塞のリスクを評価するにはカフリークテスト(CLT)がある.

ATS/ACCPの呼吸器離脱ガイドライン 2016では,
・Postextubation stridorの高リスク群ではCuff-leak testfを行うことは推奨されている(very low certainty in the evidence).
・高リスク群: 外傷により挿管, 6日間以上の挿管, 径の太い挿管チューブ, 女性, 事故抜管後の再挿管症例

Cuff-leak testで失敗した場合, 抜管4h以上前よりステロイド投与を推奨.
・ステロイド投与後も再度Cuff-leak testを行うことが望ましい.
(Am J Respir Crit Care Med Vol 195, Iss 1, pp 120–133, Jan 1, 2017)


そのCLTが陽性の場合, 喉頭ファイバーがリスク評価に有用かもしれない

ICUで挿管されている患者で, SBTをPassした患者群で全例CLTを行い, CLT陽性例において従来のステロイド投与群 vs 喉頭ファイバー施行群で抜管後呼吸不全を評価.
(Medicine (2017) 96:5(e5971) )
・CLVol <110mlを陽性と判断.
・喉頭ファイバーはハーフタイムで勤務している術者がいる場合はファイバーを行い, それ以外はステロイドを投与するように割り付け.

ステロイド投与群では
・mPSL 20mgを4h毎に投与し, 1日1回CLTを施行.
・CLVol >110mlとなれば抜管を行う
・24h以上経過した場合, 主治医の判断で喉頭ファイバー施行を行うことも可能

喉頭ファイバー施行群では
・4%リドカインにて局所麻酔を行い, 気管支鏡を経鼻的に挿入し, 咽頭後部, 披裂軟骨, 声帯, 気管チューブを観察する.
・浮腫(局所, びまん性), 潰瘍(表層, 深層), 肉芽形成を記録
・気管チューブ前方にある声帯のV字も観察(下写真B)できるかどうか確認し, 確認できればそのまま抜管する.
・抜管後は声帯の後部2/3にある潰瘍(チューブが当たる部位)や声帯の運動, 肉芽腫など確認.

233例の挿管患者のうち, 34例がCLT陽性. そのうち17例が喉頭ファイバー, 17例がステロイド投与をおこなった.


アウトカム:
・ステロイド投与群ではCLVolは24h後に有意に増加(22[0-86.3] vs 97[0-208])したが, 依然9例(53%)が<110ml
・ステロイド投与群では有意に抜管までの期間が延長する(7日[4-11] vs 4[2-6]), SBT〜抜管まで(30h[24-60] vs 1.5h[1-2])
・また, その間2例の自己抜管, 9例の喉頭ファイバー観察下抜管を施行

・喉頭ファイバー観察群では, NGチューブと気管チューブに挟まれる披裂軟骨の浮腫を認める例が多かったが, 17例全例でV字が観察でき, 全例で抜管成功した.
・ステロイド群と合わせて26例でファイバー後に抜管し, 抜管後の呼吸不全は認められず.

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・CLT陽性の場合、喉頭ファイバー(Studyは気管支鏡であるが)を用いてV字を確認することで、抜管までの期間を短縮可能かもしれない.
・リスクがある患者, DMなどでステロイド投与がしにくい場合はアリ.
・喉頭ファイバーでうまくできればより簡便になるかも