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2016年3月28日月曜日

感染性心内膜炎と悪性腫瘍のリスク

(Medicine 95(12):e3198) より

台湾におけるPopulation-based, observational, retrospective studyより, 2000-2010年に診断された成人の心内膜炎患者14534例と, 年齢, 性別を合わせた58136例のControl群を比較し, 心内膜炎後の悪性腫瘍の診断率を評価した.
母集団

アウトカム: 悪性腫瘍の診断リスク
心内膜炎患者では, 血液腫瘍, 頭頸部癌, 消化管腫瘍, 肝癌, 子宮癌のリスクが上昇する結果

年齢別の評価
・55歳未満でも, 以上でも感染性心内膜炎は悪性腫瘍のリスク因子となる
・55歳未満では血液腫瘍のリスクが特に高い

心内膜炎診断〜腫瘍診断までの期間別の評価
・心内膜炎診断から5年未満で特に悪性腫瘍診断のリスク上昇が大きい
・5年以後でもリスクはあるが, 低下. 有意差がなくなる項目も多い

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これらの結果から, 著者は一部の感染性心内膜炎は悪性腫瘍の初発症状である可能性があるとしている.
免疫の問題, 細菌の侵入門戸の問題など, たしかに考慮した方が良いのかもしれない.

心内膜炎患者では, 治癒後外来で, 年齢に応じた癌のスクリーニングを考慮するか, 検診をしっかり受けるように重々指導するかはした方良いと思う

あと原因菌別の評価とかあれば興味深いところです.