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2015年10月10日土曜日

低酸素脳症後の中枢性尿崩症

症例報告 (J Korean Med Sci 2012; 27: 329-331)
肺塞栓による心停止後, 蘇生し低体温療法を行った患者でその後原因不明の高Na血症, 多尿となり死亡した症例報告.
・尿量は8L/dであり, 低酸素脳症による脳浮腫が中枢性尿崩症を引き起こしたと考えられている
・低体温療法に伴う多尿がマスクしている可能性が示唆された.

臓器移植のドナーとなる脳死患者では、中枢性尿崩症多く認められる報告があり,  脳症や頭部外傷、脳挫傷患者における中枢性尿崩症は重度の脳損傷を示唆する所見と考えられている. (Crit Care Med 1982;10:798-9)(Transplant Proc 1990;22:351-2)
・前述のように低酸素脳症でも認められる.

重度の低酸素脳症後に尿崩症と下垂体不全を呈した11例の解析では
・低酸素エピソードから尿崩症発症までは60±46時間 [11-131時間]
 低酸素から2−3日経過して尿崩症と判断されることが多い.
・下垂体不全診断までの期間は423±182時間 [132-672時間]と数週間へて診断される.

尿崩症は早期に出現するが, 下垂体不全はやや時間が経過してから生じると考えられる
(J Formos Med Assoc 2006;105(7):536-541)
院内死亡率は45%(5例), それ以外の6例も転院先の慢性期病院で18-288日後に死亡しており(平均106±99日間), 予後不良因子と考えられる.