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2015年8月21日金曜日

どの程度の腎不全ならば造影CTをしてよいか?

2000-2010年に造影CT, 単純CTを施行した患者群で, Propensity score-matched analysisを施行. (Radiology. 2014 Apr;271(1):65-73.)
 eGFR <30, 30−59, 60−89, ≥90に分けて, 合計12508例を比較した.

eGFRとAKIリスク
 eGFRが低いほど, CT後のAKIのリスクは上昇するが, 造影CT群, 非造影CT群でAKIの頻度は変わらない. 

同Cohortの患者群において, 造影CT群, 単純CT群で透析, 死亡リスクを比較.(Radiology 2014;273:714-725)
 どの群でもAKI, 死亡, 透析リスクは有意差なし.
 また、AKIとなった患者で造影CT群、単純CT群を比較しても、予後には有意差は認められなかった。

慢性腎不全患者で造影CT, 単純CTを施行した患者群を対象としたRetrospective study.
 CKD stage III (eGFR 30-59)群とCKD stage IV−V (eGFR <30)群それぞれにおいて, 造影CT施行群 vs 単純CT施行群をpropensity-matched analysisで比較 (Mayo Clin Proc. 2015;90(8):1046-1053 )
 CKD III群では各1220例を抽出し, 比較
 CKD IV−V群では各 491例を抽出し, 比較
CKD stage別のAKI合併率, 30日後に透析移行率, 死亡リスク
アウトカム
母集団
造影群
非造影群
OR
AKI発症率
CKD III
10%
15%
0.65[0.41-0.89]

CKD IV−V
21%
20%
1.14[0.78-1.50]
30日透析率
CKD III
0.4%
0.4%
1.00[0.24-2.24]

CKD IV−V
1.7%
0.7%
2.33[0.98-3.68]
30日死亡率
CKD III
8.9%
11%
0.77[0.50-1.04]

CKD IV−V
18%
19%
0.93[0.57-1.29]
CKD IV−V(eGFR <30)でも造影剤使用はAKIや透析、死亡リスクにはならない結果

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慢性腎不全患者への造影CTの判断には毎回迷う。
救急患者ですぐに造影CTをしたいけれども、Cr値の結果を待たないといけない、とか、Cr値が分からない限りは検査を受け付けてくれない、ということは多い。

ただ、これらの結果をみれば、緊急ならば造影を優先しても良さそうである。
解離や、出血を疑う場合はやはり腎機能を待たずにGO!という判断もあり。

それでも腎不全患者では造影しようが、しまいがAKIリスクは高いため、
AKIになった場合、それが造影のせいだ、この馬鹿たれが!と非難される可能性はあるのが、、、怖い。
病状説明が重要と、病院でのコンセンサスの作成が重要となりそうです。

あとは後ろ向きスタディという点。これはなかなかProspectiveではやりにくいですね。