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2017年1月13日金曜日

高齢発症の関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症(PMR)と高齢発症の関節リウマチは症状が類似しており、しばしば鑑別が難しい。

PMR-like onsetの116名中, 19%がRA ACR criteriaを満たした.
 最初にPMRと診断されても, 12moのFollowにて20%がRAと診断. (ACR criteriaにて診断)
最終的にPMRと診断された65名, RAと判明した19名を比較すると, 体重減少, 近位筋萎縮, 末梢の滑膜炎で有意差あり
症状
PMR(65)
RA(19)
p
体重減少
38.5%
10.5%
0.02
近位筋委縮
1.5%
15.8%
0.03
末梢の滑膜炎
26.2%
78.9%
0.0001
RA陽性
12.3%
36.8%
0.03
 発熱, 朝のこわ張り, 頭痛は有意差無し
 LabではRFのみ有意差あるも, 臨床的に有用と言える感度、特異度ではない
 (Ann Rheum Dis 2001;60:1021-4)

両上肢の圧痛もSn 75% vs 13%(p<0.01) で有意差あり (Ann Rheum Dis 1991;50:619-22)

高齢発症のRA(EORA) 10例とPMR 27例でFDG−PET/CTを評価
 EORAでは発症年齢 74.2±10.0歳, 男性例が 8/10
 PMRは77.3±10.0歳, 男性例が 9/27

PET/CTの集積を比較: 
 坐骨結節, 棘突起の集積 → よりPMRで多い
 環軸関節, 手首, 肘関節の集積 → EORAで多い

集積パターンでは,

 肩関節の周囲に線状, 円状に集積がある場合 → EORA
 股関節の前方に集積がある場合 → PMRを示唆する

PET所見の感度、特異度 (EORAよりもPMRを示唆する所見)
所見
感度
特異度
LR+
LR-
坐骨結節の集積
96.3%
40.0%
1.61
0.09
棘突起の集積
81.5%
40.0%
1.36
0.46
手首の集積がない
59.3%
100%
0.41
孤発性の腸恥包の集積
59.3%
90%
5.93
0.45
肩関節の線状, 円状の集積がない
70.4%
90%
7.04
0.33

PMR 15例, EORA 7例においてPET-CTを施行した報告
(PLoS ONE 11(7): e0158509. )

PMRで有意に集積を認める9箇所: 
・肩甲上腕関節周囲, 
・恥骨筋付着部, 
・大腿直筋付着部付近, 
・股関節, 
・大転子側面, 
・坐骨結節,
・下位頚椎の棘突起, 
・腰椎椎間関節, 
・腰椎棘突起

上記を各1点としてスコアリングを作成すると,
EORA群は0[0-4], 
・PMR群は8[3-9].
≥5点は感度86.7%, 特異度 86.7%でPMRを示唆する結果.

画像の例



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アクセスや費用の面でそう簡単にPET/CTは評価できないですけども、
このような集積の違いを知っていると身体所見、圧痛部位、分布での注目するポイントが明確となります。
このようなデータを把握しつつ、所見を取る、これが臨床のセンスを磨くコツと思っています。