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2014年11月10日月曜日

心房細動 総論: 予後, 治療(Rate vs Rhythm)

心房細動 総論: 予後, 治療(Rate vs Rhythm)
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初発Afの予後
CARAF; 初発見のAf患者(F339名, M560名)を4.14±1.39yrフォロー. Circulation 2001;103;2365-2370
Baselineの評価 女性の方が高齢, 症候性が多い.

 Afの基礎疾患は男性はACSが多く, 女性は高血圧, 甲状腺疾患が多い

 甲状腺機能異常は女性例で15.5%, 男性で4.7%認められた

Paf発見1年後の評価でPafのままなのは50%.
 残り50%はPafの症状は無く, 検査でもひっかからなかった. (ただしこれがPafが消失した, とは判断できない)
3年間で慢性Afに移行する例は18.9%
 移行までの期間は男女差は無し. 男性1138d, 女性1092d.

再発性Afのリスク
再発性Afを来しにくいファクター
 LAD < 4.5-5cm
 最近のAfの発症
 心不全無し, もしくは軽度
 治療可能な原因疾患がある (甲状腺機能亢進症, 心膜炎, PE, 心臓手術)
 HTN(-), 高血圧性心疾患(-)
 TEEにて, LAの流速が早い
Afの持続・再発は、心筋伝導路のリモデリングを来たす
 不応期の短縮を来たし, Afが戻りにくくなる
 このリモデリングは洞調律を維持することで、24hrで改善.

Afの治療: Rate control vs Rhythm control
Rate controlはHRを安定させる方法. Rhythm controlは薬剤や電気的除細動を用いて同調率に維持する方法.
 Rate controlとRhythm controlにおいて, 血行動態, 血栓症リスク, 症状の改善は同等
 日本国内のStudyでも同様の結論(J-RHYTHM Study) (Circ J 2009;43:242-8)
 Rhythmコントロールは抗不整脈薬を使用 ⇒ 副作用のリスク
 Afの初期対応としては、Rateコントロールの方が推奨(AFFIRM)
 一部例外としては、拡張型心筋症など
Rhythmコントロールを選択する状況
 持続性の症状
 Rateコントロールが困難
 患者の好み
 心筋拡張不全
 再発のリスクが少ないAf(若年など)

J−RHYTHM trial Circ J 2009; 73: 242 – 248
PAF患者823名のRCT. (日本国内の多施設研究)
 Rate control群 vs Rhythm control群に割り付け, 578dフォロー.
 洞調律維持率は

@6mo @1yr @2yr @3yr
Rhythm 87.2% 88.9% 84.3% 72.7%
Rate 74% 69.2% 65.6% 43.9%
 Primary outcomeではRhythm control群で有意に低リスクとなるが, 死亡, 症候性Stroke, 塞栓症, 出血, HF率は有意差無し.

 Physical/psychological disabilityが有意差を作り出しており, これはRate群の20%で使用されているジギタリスのせいでは...?

高齢者ではRate controlを The American Journal of Medicine (2013) 126, 887-893
AFFIRM trialにおいて, 70-80歳でRate-control群に割付けられた1118名とpropensity matchedさせたRhythm-control群 937ペアを比較.
 All-cause mortalityはRate-control群で有意に少ない.
特に非心血管系イベントによる死亡リスクと心血管系イベントによる入院リスクが少ない傾向にある

初発Afのマネージメントアルゴリズム Lancet online first, 2011, Dec.
 血行動態安定ならば Rate controlを選択. 
 Rate controlが失敗した場合にRhythm controlを選択.

再発性、持続性Afのマネージメントアルゴリズム

Rhythm controlを選択する場合,
  重度, 不安定な心不全 → Amiodarone
 高血圧, LVH, HF, CADがある場合 → Dronedarone, Sotalol
 上記が無い場合はDronedarone, flecainide, Propaferone, Sotalol.
 うまく行かない場合はカテーテルアブレーション or Amiodarone

Rate, Rhythm controlの選択に関わる因子

Rate vs Rhythm controlの長期予後
カナダのQuebecにおける1999-2007年の後ろ向きCohort. Arch Intern Med 2012;172:997-1004

 ≥66yrでAfで入院した患者群のフォロー. (入院前までAfに対する処方がなく, 入院中, 後7日以内に薬剤開始)


 平均3.1年間(2.3)フォローし, 生存率を比較.
 Rhythm control 6402名, Rate control 19728名.