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2013年12月30日月曜日

アミオダロンによる肺障害

アミオダロンによる副作用
アミオダロンはその長い半減期から様々な副作用を呈する.
有名なのは甲状腺機能異常, 肝障害, 皮膚色素障害, 肺障害.
2つのCohort, アミオダロンによる副作用2216例の解析では, 最も多いものは甲状腺障害, 次いで不整脈, 血液毒性, 肺毒性の順番.

Br J Clin Pharmacol 2008;66:82-87

アミオダロンによる肺毒性 Am J Cardiol 2011;108:705–710
肺障害の頻度は0-10%の範囲で報告されている.
RCTでは0-8%, prospective cohortでは2-8%, Meta-analysisでは<2%の報告.
死亡率は1-33%と差がある.

肺障害に関わるリスク因子は, 年齢と使用期間が重要

60歳以上, 投与期間は半年以上の群で高リスクとなる.
また, 総投与量も重要であり,
 101-150g でOR 10.29[3.42-30.92]
 >150gで OR 9.50[3.82-23.67] と101g以上でプラトーとなる.

AF患者群のRetrospective studyにて, Am J Cardiol 2011;108:705–710
 ≥65yのAmiodarone使用者6460例, 非使用者50933例を比較.
 肺毒性を認めたのは, 使用群で3.87%, 非使用群で1.33%

肺障害のパターンは, 肺線維化が最多. 様々な間質性肺炎パターンを呈する. ARDSもあり.
アミオダロンによる肺障害のリスク因子;
男性例, 高齢者, COPD, 腎不全がリスクとなる.
また, アミオダロンの投与量; >200mg/d, ≤200mg/dも同等のリスク因子となり, 低用量でもリスクが少ない訳ではない.


投与開始〜肺障害発症までの期間;
 投与開始から6年間は徐々に発症例が増加し, その後プラトーとなった.
 数年は発症するリスクがある点に注意すべき.

アミオダロン肺炎の治療
通常の薬剤性肺炎ならば原因薬剤の中止で改善する例もあれば, 短期間(~1ヶ月程度)のステロイド治療でステロイドを中止可能な事も多い.

アミオダロンの場合, ステロイド減量とともに再度増悪する例も報告されており, 通常の薬剤性肺炎よりも長期間の免疫抑制が必要となる事がある.

理由としては、アミオダロンは脂溶性であり、体内蓄積する傾向が強いため. 
例えば, アミオダロンによる甲状腺炎や精巣上体炎は同部位に蓄積したアミオダロンに対する自己抗体が炎症の機序の1つとして指摘されており, 同様の理由でより長期間のステロイド投与、Taperingの際には再燃への注意が必要となる.
Internal Medicine 2006;45:1303-1307

2013年12月27日金曜日

腹部敗血症 Abdominal sepsisに対するポリミキシンBの効果

Polymyxin Bによる血液還流で血中のエンドトキシンを除去し, 敗血症の予後を改善させようという治療は今でも施設によっては一般的にされている治療の1つ.

ただし, あまり有用というエビデンスが無かったが, 2009年にJAMAより腹腔内感染による敗血症性ショック, 重症敗血症患者を対象としたRCTが発表されてから, 同様の患者群やGNR感染症ではさらに選択される様になった.

EUPHAS RCT; (JAMA 2009;301:2445-52)
 腹腔内感染によるSeptic shock, Severe sepsis患者64名のRCT.
 早期のPolymyxin B Hemoperfusion 2 session(n=34)
  vs Conventional therapyのみ(n=30)で比較

患者群は,
消化管穿孔(41), 腸閉塞(13), 複雑性胆嚢炎(7), 腹腔内膿瘍(2), 腹膜炎(1)

Outcome
 Baseline ⇒ 72hr後の平均動脈血圧はPMX群で有意に改善を認める
 カテコラミン使用量も有意に低下する

Outcome
PMX-B
Conventional
HR
院内死亡率
41.2%
66.7%
0.43[0.21-0.90]
28D死亡率
32.4%
53.3%
0.36[0.16-0.80]

死亡率も有意にPMX−B群で改善するとの結果であった.

ただし,
このStudyはNが小さく, 原因菌も両群によりバラツキが強かった.
Conventional Therapy群での死亡率が高率であり,  通常の治療がどうなのかが不明という問題点もあった.

そんななか,
日本からPropensity matched analysisが発表されたので見てみる.
Postoperative Polymyxin B Hemoperfusion and Mortality in Patients With Abdominal Septic Shock: A Propensity-Matched Analysis. Crit Care Med 2014 online first

日本からのPropensity-matched cohort.
 18歳以上で下部消化管穿孔で緊急手術を施行し, 術後にカテコラミンを使用している患者群を対象.
 対象は非外傷性の下部消化管穿孔例(虫垂炎を除く)で, 入院時に緊急開腹術を行い, 術後カテコラミン投与を必要とする患者.
 Day 0-1での死亡例は除外, また, Day 2以降にPMXを行った患者も除外.

上記を満たす患者 2925名中, Day 0-1に1~2回のPMX B Hemoperfusionを施行したのは642例.
 PMX B施行群 vs 非施行群でPropensity score matched analysisを行い, 590ペアを抽出. 両群での死亡率を比較した.

母集団;

アウトカム;

両群とも死亡率は16-17%と有意差無し.
PMX B hemoperfusionの回数別, 開始日別でも死亡率が下がるわけではない.
Sub-group analysisでも, 特にPMX Bで有意に死亡率が下がる群は見いだせず.

ABDOMIX trial: 消化管穿孔による緊急手術を行い術後12h以内に腹膜炎から敗血症性ショックとなった243
・通常の敗血症治療群 vs PMX(2)に割り付け, 比較
PMX群のほうが死亡リスクが高い傾向(有意差はない)
( 2015 Jun;41(6):975-84.)
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JAMA 2009のRCTでは有意差があり, 28日死亡率は-20%, NNT 5というバケモノじみた効果を発揮したPMX−B. 
国内のPropensity matched cohortでは有意差出ず.
また, ABDOMIX trialでも有意差を認めなかった.

これらの報告では, 根本的な母集団の死亡率が大きく異なる(50% vs 16%, 20-30%)

国内のCohortにおいてPMX-B使用群642名中590名(92%)が抽出されていることから, 別に軽症例のみを抽出したわけではないであろう. 

実際消化管穿孔からの敗血症で迅速に手術できた場合, DNARでなければ半分も亡くなるという感覚もない.
根本的な腹部敗血症の死亡率の違い. それは手術治療の国別の違いなのかもしれないし, ドレナージ技術, 医療機関へのアクセス, 診断までの早さにも関係するのかもしれない.

少なくともアクセスや手術までの早さ, 技能については世界においても日本はやはりトップクラスなのは間違いないので, そのような環境下ではPMX-Bの恩恵にあやかる必要性は低いとも考えられるだろうか? その辺はよく分かりません。

2013年12月24日火曜日

Ecthyma Gangrenosum

Ecthyma gangrenosum
HSSJ (2011) 7:279281, J Am Acad Dermatol 2004;50:S114-7
まずは写真から.

中心部が壊死し, その周囲に紅斑のHaloを形成する皮膚所見.
古典的には緑膿菌菌血症に伴う所見とされ, 細菌の経血流散布, 直接浸潤で血管壊死を生じる.
典型的には血液腫瘍や好中球減少といった免疫不全患者での緑膿菌菌血症 症例での報告が多く, 他は乳幼児の菌血症に合併する所見での報告例がある.
菌体は潰瘍部ではなくその周囲の発赤部の生検で認められる.

典型的には緑膿菌菌血症であるが, 他にも様々な細菌で報告例がある
免疫不全(特に好中球減少)の患者で, この様な所見を認めた場合は要注意.
その際の生検部位は周囲の発赤部位を含ませることが重要ということを覚えておきましょう.

2013年12月21日土曜日

PHASES score; 脳動脈瘤の破裂リスクを評価する

Lancet Neurol 2014; 13: 59–66
脳動脈瘤をフォローした6つのprospective cohort, N= 8382 にて, 5年破裂リスクを評価し, scoreを作成
1年破裂率は1.4%[1.1-1.6], 5年破裂率は3.4%[2.9-4.0].

動脈瘤破裂した220例と非破裂例を比較し, 破裂に関連する因子を評価

この結果より, 人種別, 動脈瘤の大きさ, 部位, 年齢, リスク因子から
5年破裂率を評価すると,
A; アメリカ, 西欧諸国 (フィンランドを除く)
B; 日本人
 日本人の方が破裂リスクが全体的に高い.
 人種的に最もHigh-riskなのはフィンランド人. 次いで日本人.

PHASES scoreと5年間破裂率
5年破裂率が5%を超えるのは10pt以上の群となる.

例えば
日本人で, 高血圧(+)の高齢者, という時点で5pt.
MCAに7mmの瘤があれば 10pt. 
7mm未満では7ptで5年破裂率2.4%と低リスク.

2013年12月17日火曜日

高齢者の掻痒感への対応 JAMA 2013

高齢者の掻痒感 JAMA 2013;310:2443-2450のざっとしたまとめ.

2013年12月13日金曜日

Obstructive Fibrinous Tracheal Pseudomembrane

70台女性. 難治性胃潰瘍出血で入院.
 来院時出血コントロール困難であり, 気管挿管を施行. その際数回失敗している.
 内視鏡検査では活動性の出血を認め, その後複数回止血するもコントロール困難.
 結局アンギオを2日連続で行い止血を確認.

病状が安定したため, 第4病日(挿管後3日経過)に抜管したが,
抜管直後からStrider著明. 呼気は問題ないが吸気が困難な状態となった.
気管支鏡検査では, 声門までは浮腫無し.
声門下に吸気時に気管前方から迫り出す様な黄白色の粘膜性病変があり, それが気管を狭窄させている. 
気管の虚脱の形からは気管軟化症でもないし(側方から潰れる), EDACでもない(後方から潰れる). 前方から迫り出すなんて初めての経験….
その粘膜性病変は声門直下にあるため, 全体像をつかむのも困難であった.

そのまま気管支鏡を進めると, それより中枢側は全く問題無し. 結局再挿管となった

この病変は一体…?

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Obstructive Fibrinous Tracheal Pseudomembrane
OFTP; 挿管により気管周囲に線維性の偽膜が形成される病態
 抜管後の上気道狭窄の原因の1つであり, 早期発見と除去が重要.
 稀な疾患であり, いくつかの症例報告しかない.

66歳女性の眠剤過量服薬症例; J Korean Med Sci 2010; 25: 1384-1386
 3日間の挿管管理を行い(数回の挿管失敗, 外傷あり), 問題なく抜管
 カフ圧は15cmH2Oで管理していた.
 抜管後3日目にStrider, 呼吸苦, 過換気状態となり, 吸入治療反応せず.
 CTをとると, 声帯直下から辺縁不整の粘膜狭窄(+)
気管支鏡施行すると,
声門下に弾性のある偽膜が全周性にあり, 狭窄を来していた.
チューブ状で4cmの長さであった.

癒着しており鉗子ではちぎれるのみであり, 硬性鏡を使用し, 切除した.
切除後の気管粘膜からは肉芽種形成は認められず, 気管軟化症も無し.
切除病変の組織検査では線維組織と好酸球, 急性炎症細胞が認められた.

25歳男性, マリファナ吸引歴あり. European Journal of Cardio-thoracic Surgery 40 (2011) 261—263
 バイクによる交通外傷で搬送し, 挿管管理となった.
 4日間の挿管管理後に抜管. 7h後に呼吸苦(+). 声門下浮腫として対応され, ステロイド, 気管支拡張薬を使用するも改善せず.
 CT評価で気管中部に狭窄病変あり, 気管支鏡にて声門下4cmの所に気管前側壁に付着する偽膜を認め, バルブの様に呼吸を障害していた.
 硬性鏡にて除去し, 組織を見るとフィブリン線維と炎症細胞成分の混在.
 偽膜を除去した痕は気管粘膜の擦過傷があるのみ.
偽膜の部位は丁度カフが当たる部位に認められた.

Tracheal pseudomembrane(気管偽膜)は挿管による稀な合併症であり, 抜管失敗, 呼吸不全の原因となる.
 10例の報告では, 平均挿管気管は6.2±1.8d, ただし, 4例は挿管24h以内の発症であった
 7/10が抜管後 59±27hで急性呼吸不全を呈した.

偽膜は気管壁に付着しているが, どちらか一方が剥がれれば一方弁のような働きをし, 急性の呼吸不全となり得る.
 剥がれるのが抜管時ならばすぐに呼吸不全が,
 抜管後数日たって咳嗽等の刺激で剥がれれば, その時に急性呼吸不全を生じてしまう.

しばしば声門下浮腫と誤診されるが,
 声門下浮腫は通常抜管後1hで出現し, 4h程度で増悪, 24hで改善する経過をとる. またステロイドへの反応性は良好.
 OFTPは数日かけて増悪し, 治療反応性は悪く, 除去するしか無い.

気管に偽膜を生じる感染症;
 ジフテリアが有名で, 他に真菌, 細菌, ウイルスも原因になり得る. ただしOFTPとの鑑別に苦慮することはあまり無い.

OFTPの機序は不明瞭だが, カフで気管粘膜が虚血となることが原因と考えられる.
 偽膜下の気管支粘膜に発赤や軽度の壊死を認める所見もその理論で説明可能
 ただし, カフ圧が低くても発症する症例報告はあり, それだけでも説明付かない.
 挿管時の外傷や化学的刺激, 外傷等様々な要素が考えられる. 例えば, 挿管にもたついている間に口腔内に逆流した胃液でチューブが汚染され, 付着した胃液の刺激が持続的に気管粘膜に加わる, 挿管を乱暴に行うことで声帯下粘膜を障害し, 偽膜を形成する機序など.

対応は薬剤は効果無く, 気管支鏡(硬性鏡)による除去が最も有効で確実.

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OFTPという病態を覚えておきましょう.

薬物中毒とかで、短期間の挿管管理、抜管後すぐに退院…. とかいうケースが怖くなってきたなぁ… やはり経過観察は必要なんでしょうかね。

早く抜く見込みの人程、挿管はなるべくスムーズに行いたいところですね.

腰痛のRed Flagsのまとめ

今更という感じですが, 腰痛のRed Flagsをまとめてみます
Red Flagsというのは, こんな腰痛には気をつけろっ ということです。

JAMA Rational Clinical Examinationより,
疾患に対する病歴の感度, 特異度
疾患
History
Sn(%)
Sp(%)
悪性腫瘍
①年齢>=50yr
77
71
②悪性腫瘍の病歴
31
98
③説明できない体重減少
15
94
1mo治療しても改善認めない
31
90
臥位, 安静時で改善しない
>90
46
1mo以上の腰痛持続
50
81
or or or 保存的治療に反応しない
100
60
脊椎 骨髄炎
IV Drug use or UTI or 皮膚軟部組織感染症
40
NA
脊椎圧迫骨折
年齢>=50yr
84
61
年齢>=70yr
22
96
外傷歴
30
85
ステロイド使用
6
99.5


疾患
History
Sn(%)
Sp(%)
椎間板ヘルニア
坐骨神経痛
95
88
脊柱管狭窄
Pseudoclaudication
60
NA
年齢>=50
90
70
強直性脊椎炎
5項目* 4項目以上(+)
23
82
発症年齢=<40yr
100
7
臥位で改善しない疼痛
80
49
背部のMorning stiffness
64
59
疼痛3mo以上持続
71
54

*背部症状のOnset <40yr, 症状は緩徐に出現, 症状は3mo以上は持続, Morning Stiffness(+), 運動により軽快する の5項目.

Meta-analysisにて, 脊椎骨折, 悪性腫瘍の可能性を上げる(下げる)因子を解析したStudyより (BMJ 2013;347:f7095)

椎体骨折のリスクに関連する因子;
ACPガイドラインに記載されている因子の解析
 ACPガイドラインに未記載の因子の解析

悪性腫瘍のリスクに関連する因子;
ACPガイドラインに記載されている因子の解析
ACPガイドラインに未記載の因子の解析

ACPガイドラインに記載されている項目がやはりリスク因子として重要.
有用性については結局JAMA Rational clinical examinationの記載と大差ない感じ.

2013年12月11日水曜日

IVLのPET検査から考えること

IVL(Intravascular lymphoma) 血管内リンパ腫は小血管内でリンパ腫細胞が認められる病態であり, Diffuse Large B cell Lymphomaの1つに数えられる(9割がDLBCL, 1割がT cell系)

欧米の報告では皮膚病変やCNS病変, 症状で発症する例が多いが,
日本や台湾等アジアからの報告では, 不明熱, 肝脾腫, 血球貪食症候群で発症する例が多く, そのようなIVLをAsian-variant IVLと呼ぶ.

その辺は機会があれば詳しく書きます

近年PETが普及し始めると同時に, IVLに対するPET検査の報告がチラホラと見るようになった.

61歳女性, 不明熱と衰弱. 血液検査ではLDHのみ高値 Eur J Nucl Med Mol Imaging (2010) 37:1801
画像所見も問題無し. 
PET-CTでは腎臓, リンパ節, 骨に集積を認め, 腎生検にてリンパ腫細胞を検出
64歳男性の貧血と骨痛 Clin Nucl Med 2012;37: 810-811
 Gaシンチ(左)とPET-CT(右). 

 腎臓, 骨髄への集積を認め, 同部位の生検にてリンパ腫細胞を認めた.

39歳女性, 1ヶ月間の再発性の発熱で紹介 Mayo Clin Proc. 2010;85(8):e56-e57 
 所見は特になく, LabにてLDH 1051, IL-2R 24500, フェリチン 1019, Hb 7.0, PLT 37000/µLとBicytopenia(+).
 Sat90%と低かったが, 胸腹部CTでは正常.
 PET-CTでは両側上肺野と腎臓へ集積(+)
 ランダム皮膚生検にて血管内にリンパ腫細胞(+)

この文献では他に3例を報告


日本国内からの報告; Int J Hematol (2008) 88:149–153
大垣市民病院において診断した4例のIVLでPET-CTを施行.
 PET-CTの集積部位は骨, 脾臓が最も多い.
 A; 3番の患者のPET-CT, B; 1番の患者のPET-CT

これらの報告から考えるに,
IVLは小動脈, 静脈, 毛細血管でのリンパ腫と考えられてきたが, 多臓器に分布し, 通常の検査では引っかからないリンパ腫と考えることができる.
 多い部位は骨髄と肺, 腎, 脾臓.
 骨髄は集積する部位を穿刺すれば腫瘍細胞が見つかる可能性あるが, 違う部位を穿刺しても情報は得られない.
 肺も部分的な集積が認められ, それがIVLでSatが下がる理由と考えられる.
 Asian variant IVLは骨髄浸潤からの血球貪食症候群で説明可能かもしれない.

 生検部位はPET-CTであたりをつけることでより早期診断に繋がるかもしれない
 
また話は変わるが, より多くの微小血管を含む為に,
ランダム皮膚生検ではなるべく深く採取し, 多くの血管を含めることが大事(脂肪組織まで採る, もしくは血管腫の部位を採るべし)

ステロイドユーザーの耐糖能障害の評価、介入

Mod Rheumatol, 2014; 24(1): 52–59
ステロイド投与による耐糖能障害は主に食後血糖の上昇で生じることが分かっている.
そこで
RAや他の膠原病でステロイド使用している患者において, 外来患者では昼食後血糖を評価, 入院患者では食前後血糖を評価
 食前30分と食後2h(外来では1-3h)で測定.
 血糖140-199mg/dLでは耐糖能障害, ≥200mg/dLでGC-DMと評価.
 食後高血糖(+)の患者群では, PSLを1日1回朝内服から数回に分けて内服するように変更.
 変更後も昼食後血糖>200mg/dLとなる群, PSL分散投与に同意できない群ではNateglinide(スターシス®) and/or Acarbose(アカルボース®)を追加.


患者群はRA/CTDでPSL内服中の78名で血糖を評価(外来9名)
PSL量は外来で15.6±11.3mg/d, 入院患者で10.2~34.5mg/d

耐糖能障害は30例, GC-DMは41例と多い(左).

PSLの量が一定の14例の空腹時血糖(○)と食後血糖(●)とHbA1cの値の比較では(右),
 食後血糖が高いが, HbA1c 5-6%前半台が半数程度.
 HbA1cではGC-DMの食後高血糖を検出しきれない.
 もともとDM(+)患者ではHbA1cは高値となりやすいが, DM(-)でステロイドの影響で耐糖能障害となった患者ではよりHbA1cは上昇しにくい.

各介入毎の食後血糖の推移.
A; PSLを分割 B; 薬剤を1剤のみ追加 C; 薬剤を2つ追加 D; PSLの分割と薬剤を2剤追加

有意差がでるのはPSL分割投与と薬剤2剤の併用全てを組み合わせた群. ただ, 他の群でも食後血糖は減少する傾向にはある.
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Point
●ステロイドユーザーにおける耐糖能障害では, 食後高血糖が重要であり, HbA1cのフォローでは不十分である.
●食後高血糖の治療にはαグルコシダーゼやグリニドが有用な可能性があるが, PSLを分割投与に変更するのも有用と言える.
(Studyでは使用されていないがメトホルミンも効果的だろうと思われる)