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2012年6月26日火曜日

脳梗塞の二次予防としてのスタチン

脳梗塞の2次予防としてのスタチンに関しては,
SPARCL trialが有名(NEJM 2006;355:549-59)

1-6ヶ月以内に脳梗塞、TIAを発症した4731名のDouble-blind RCTで,
LDL 100-190mg/dL, 心疾患リスクが無い患者群で評価したもの.

Atrovastatin 80mg/d vs Placeboに割り付け, Strokeの再発率を比較.
平均フォロー期間は4.9年.

Outcomeは, 死亡率は有意差ないものの, Stroke再発率は低下するという結果であった

Outcome
Atrovastatin
Placebo
HR
Stroke全体
11.2%
13.1%
0.84[0.71-0.99]
非致死的 Stroke
10.4%
11.8%
0.87[0.73-1.03]
致死的Stroke
1.0%
1.7%
0.57[0.35-0.95]
TIA
6.5%
8.8%
0.74[0.60-0.91]
全死亡
9.1%
8.9%
1.00[0.82-1.21]




このSPARCL trialを年齢別に解析したStudyが Neurology 2009;72:688-94に発表され、
その結果, Stroke予防効果が認められたのは65歳未満の群のみとの結論であった。


Outcome
<65yr
>=65yr

Statin
Placebo
HR
NNT
Statin
Placebo
HR
NNT
Stroke
7.9%
10.5%
0.74[0.57-0.96]
38
14.7%
16.2%
0.90[073-1.11]
Stroke or TIA
12.5%
17.0%
0.73[0.59-0.90]
22
19.4%
23.8%
0.79[0.66-0.95]
23
冠動脈イベント
2.3%
3.6%
0.62[0.39-0.99]
77
4.6%
6.8%
0.68[0.48-0.97]
45
CHD
3.8%
6.8%
0.55[0.38-0.78]
33
6.7%
10.8%
0.61[0.45-0.81]
24
全死亡
5.2%
4.2%
1.21[0.84-1.75]
13.2%
14.4%
0.94[0.75-1.18]


他にもLancet Neurol 2009;8:453-63にてStrokeの一次予防、二次予防に対するスタチンのMeta-analysisも発表され, その結果はスタチンは一次予防、二次予防双方に効果的との結論。

Outcome

N
Active
Control
RR
Stroke
一次予防
23
0.4-4.7%
0.5-4.8%
0.81[0.75-0.87]

二次予防
4
9.5-13.5%
10.4-20.0%
0.88[0.78-0.99]
致死的Stroke
一次予防
13
0.1-1.0%
0.1-1.1%
0.90[0.76-1.05]

二次予防
1
1.0%
1.7%
0.87[0.73-1.03]
脳出血
一次予防
9
0.0-0.3%
0.1-0.5%
0.81[0.60-1.08]

二次予防
2
1.3-2.3%
0.7-1.4%
1.03[0.75-1.41]

また, LDL-Cholの減少率が高い程、Stroke発症率が低下するとのMetaもあり
(Lancet 2011;377:1681-92)


そこで今回発表されたスタチンによる心血管系イベントに対する2次予防効果のMeta
(Arch Intern Med 2012;172:909-919)
このStudyは男女別に解析している.


その結果, 冠動脈疾患に対する二次予防効果はスタチンは男女共に認められているが,
Strokeに対しては男性のみ効果を認めており, 女性では有意差無し.
死亡リスクに関しても男性のみ有意差ありという結果.

以上をまとめると,
脳血管疾患に対するスタチンの二次予防効果は,
男性例で, <65歳の若年性の脳梗塞のみで明らかに効果は認められるということか。
女性例や、高齢者例での効果は証明不十分という認識にすべきか。

いままでStroke後は全例スタチンだろう、と言っていたマネージメントは見直すべきなのかもしれない。by高岸。