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2018年1月13日土曜日

胸腺腫と免疫不全

胸腺腫は様々な自己免疫疾患に関連する腫瘍.
 有名なところでは重症筋無力症, 赤芽球癆, 辺縁系脳炎, 橋本病
 他にはSLEやシェーグレン, MCTD, 全身性硬化症, RA
 血液疾患では再生不良性貧血, ITP, AIHA
(Adv Clin Exp Med. 2017;26(2):237–243)

組織で証明された胸腺腫 85例の解析
(Autoimmunity Reviews 15 (2016) 82–92)
・このうち47例で自己免疫疾患を合併(55%)
 重症筋無力症が33例と最多
 橋本病 4Isaac症候群 3(VGKC抗体関連の四肢の筋けいれん, ミオクローヌスなど生じる病態), Morvan症候群 2(さらに自律神経症状を伴う重症型), 
 PRCA 2SLE 2Lichen planus 2
 他, 再生不良性貧血, AIHA, 辺縁系脳炎, Good症候群, Pemphigus, 自己免疫性肝炎, Graves病が各1
32例は胸腺腫診断前に自己免疫疾患を診断9例は同時に診断, 7例は胸腺腫切除後に発症, 診断された.

胸腺腫では自己免疫疾患のみならず, 免疫不全を伴うことが知られている
具体的には, T細胞の減少, B細胞の減少, 低ガンマグロブリン血症(Good症候群)

18例の胸腺腫症例の評価(うち6例で再発性の感染症あり)では,
 T細胞の減少が22%
 B細胞の減少が50%
 IgG,A,M全部のγグロブリンの減少が22%(4)で認められた.
(Ann Hematol (2003) 82:343–347)

正常値:
 IgG 7-16g/L, IgA 0.7-4.1g/L, IgM 0.4-2.3g/L
 CD3+ T cell: 65-85%, 1000-1500/µL
 CD19+ B cell: 7-15%, 70-225/µL
・B細胞数の低下症例9例中低γグロブリン合併(IgG正常下限含む)5.(低γグロブリン例の5/7)
再発性の感染症を呈した患者は●

Good症候群
Good症候群は胸腺腫, 低γグロブリン血症, B細胞の消失/減少, T細胞の減少, CD4+/CD8+ T細胞比の逆転, T細胞のMitogen proliferative responseの低下を特徴とする病態
・後天性免疫不全の1つであり, Encapsulated bacteria, 真菌, ウイルスの繰り返す感染症を呈する.
・イメージとしてはCVIDでB細胞が消失し, なおかつ胸腺腫を伴う病態.
(Chin Med J 2017;130:1604‐9. )(Ann Allergy Asthma Immunol. 2007 February ; 98(2): 185–190. )

中国人のGood症候群 47例の解析
(Chin Med J 2017;130:1604‐9.)
・血液検査所見

・自己免疫疾患の合併
・感染症合併頻度

Good症候群152例の解析
(Clinical Immunology (2010) 135, 347–363)
・胸腺腫+低γグロブリン血症を満たすCase reportを検索し, データをReviewした.
患者の診断時年齢は59.1, (25-90)
 女性79, 男性73例とほぼ同等
・低γグロブリン血症や感染症, 下痢の前に胸腺腫が判明していた症例は42.4%. 3ヶ月~18年先行して認めていた
 上記出現後に診断されたのは19.7%. 3ヶ月~15年遅れて診断
治療後に免疫不全の改善を認めたのは37.5%のみ変化なしが18%, 
 44.5%は経過観察期間に死亡し,このうち59.6%は感染症による死亡であった.

・血液検査データ


・自己免疫疾患の合併

・感染症の合併


同じ後天性の低ガンマグロブリン血症を呈する免疫不全であるCVID(Common variable immunodeficiency)とGood症候群の比較

フランスにおける免疫不全のCohort study(DEFI).
(Clinical Infectious Diseases® 2015;61(2):e13–9 )
・低γグロブリン血症はIgG<5g/L, IgA<0.7g/L, IgM<0.4g/Lで定義
・成人例の特発性低γグロブリン血症症例の評価にてGood syndrome21.
 CVID440(このうちB細胞陰性CVID*39)
 *末梢血B細胞<1%で定義

3群の比較
Good syndromeは最も高齢で発症
 また菌血症や肺炎の頻度が高く自己免疫疾患の合併も多い.
脾腫を伴うことは少ない

免疫グロブリンの分布
・免疫グロブリンはGS, CVIDで差はない.

CD4+ T細胞はGSで低くなる.
・GSでは404/µL[340-714],
・CVIDでは842/µL[413-842]
・B-CVIDでは575/µL[313-778]

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自己免疫疾患を伴いながら、免疫不全も呈するというのがCVIDと胸腺腫の興味深いところです.


2018年1月12日金曜日

糖尿病は結核治療の予後を悪化させるが, メトフォルミンは結核治療の補助的作用を有する

DMは活動性結核のリスクを3倍程度上昇させる(Lancet 2016; 387: 1211–26 )

それ以外に結核治療の予後も増悪させる.

台湾における培養で証明された薬剤感受性良好の肺結核症例を対象とした後向き解析.
(Clinical Infectious Diseases® 2018;66(2):198–205 )
・≥13歳以上の2516例を解析. このうち699例が2DMであった.

年齢, 性別, CKD, 悪性腫瘍, 喫煙歴, 空洞性疾患, 治療アドヒアランスで調整したアウトカムは, 有意にDM患者で増悪する結果:

 死亡OR 1.91[1.51-2.40]
 治療開始後2Mでの喀痰培養陽性持続OR 1.72[1.25-2.38]
 6Mでの喀痰培養結果には有意差なし

DM患者のうち, メトフォルミン使用者は216.

・メトフォルミン使用患者は有意に死亡リスクを低下させる結果.
 メトフォルミン使用しているDM患者の死亡リスクは非DM患者と同等であった

メトフォルミンは結核治療の補助薬として近年注目を浴びている薬剤であり, TB治療のキモとなる自食作用を亢進させる可能性が示唆されている らしい.

DM患者の結核では可能ならばメトフォルミンを使用すべき.
(そもそも第一選択なので, 基本使用している筈・・・きほんはね)

腸内細菌菌血症の治療期間

腸内細菌の菌血症における推奨治療期間は7-14とされている.

Propensity score-matched analysisにおいて短期間治療群(6-10) vs 長期間治療群(11-16)でアウトカムを比較した報告
(Clinical Infectious Diseases® 2018;66(2):172–7 )
・1769例の腸内細菌菌血症症例のうち, 385ペアを解析.
短期治療群では8日間[7-9]
 長期治療群では15日間[13-15]抗菌薬を使用.
感染フォーカスとして多いのはUTI3-4, ついで消化管が2割程度
 ほぼ全例が感染巣のコントロールがされている.

起因菌の頻度
・大腸菌やクレブシエラで大半を占める

アウトカム
・短期治療で死亡リスクが増加することはない.

UTIを対象としたRCTもあり,
≥18y, 女性の市中腎盂腎炎 248名のRCT.
(Lancet 2012;380:484-90)
・CPFX 500mg bid 7d vs 14dで比較.
・最初の7dOpen-label, その後7-14dDouble-blind.
 OutcomeCPFX終了後10-14dでの短期治癒率と42-63dでの長期治癒率
 (短期治癒率の評価は, 両群でCPFXが終了するタイミングが異なるため,

全患者で17-21日目, 24-28日目にフォローした)
・治癒は症状の改善と再燃が無いことを確認して判断.
患者は腎盂腎炎の診断が付く前に割り付けされており後に腎盂腎炎ではないと判断された場合, CPFX耐性菌の場合等は除外.

248名中, 最終的に解析されたのは156(62.9%)
・除外理由;

・Baseline;年齢は41-46.
・血液培養陽性例は2ー3割

アウトカム: 治癒率

・CPFX終了後10-14日目の治癒率, 長期治癒率は両者同等.
血液培養陽性群 vs 陰性群の比較では, 両者で治癒率は同等(陽性群 95% vs 陰性群 97%, p=0.412) 
・血液培養陽性群のみで, 7d投与群 vs 14d投与群の比較でも, 治癒率は同等(7d投与群 94% vs 14d投与群 96%, p=0.623)

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・感染巣がコントロールされていれば, 腸内細菌の菌血症の抗菌薬投与期間は1週間程度でOKと言える.
・反応が悪い症例やなかなか臨床所見の改善がない場合, 局所検体のグラム染色所見によっては延長を考慮するという感じ.