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2013年11月6日水曜日

CRISTAL trial; 循環血液量減少性ショックへの補液 Colloids vs Crystalloids

CRISTAL trial; JAMA. 2013;310(17):1809-1817. 
敗血症, 外傷, それ以外の原因のHypovolemic shock患者2857例を対象とした多施設RCT.
 Colloidsで治療する群(4%, 20%アルブミン, HES, dextran, gelatin)
   vs. Crystalloidで治療する群に割り付け, 予後を比較.

患者はいずれを満たす群
①sBP<90 or MAP<60, もしくは起立性低血圧を有する群,
②Low filling pressure, low cardiac index. 
③組織低灌流, 低酸素の所見, 症状を2つ以上認める患者群(GCS<12, mottled skin, 尿量<25ml/h, CRT ≥3sec, Lac>2mmol/L, BUN>56mg/dL, FENa <1%)

Colloid群では上記の薬剤が使用可能で, HESは30mL/kg/dを超えない量まで使用可能. 両群とも維持補液はCrystalloidを使用可能. また, Alb<2.0g/dLではAlb補液は可能.

母集団;

アウトカム;
 補液の使用量は,

使用補液

Colloid
Crystalloid
NS
使用人数
17.82%
85.65%

使用量
1000[500-2500]
2500[1500-4500]
リンゲル
使用人数
6.22%
17.67%

使用量
3000[1000-7000]
2000[1000-4500]
高張食塩水
使用人数
1.34%
4.23%

使用量
500[265-867]
1500[500-2250]
Gelatins
使用人数
34.94%
1.66%

使用量
1500[1000-3000]
1000[500-2000]
HES
使用人数
68.81%
4.78%

使用量
1500[1000-2000]
500[500-1000]
Alb 4%
使用人数
6.15%
4.16%

使用量
1000[500-1500]
1000[500-1500]
Alb 20%
使用人数
14.21%
12.27%

使用量
300[200-600]
300[200-500]
Dextras
使用人数
0.35%
0

使用量
500[500-1000]



28日, 90日死亡率の比較;


 28日死亡は有意差ないが, 90日死亡はColloids群で有意に低下.
 挿管症例が極々減少する傾向がある. 透析移行率は有意差無し.

ショックの原因別ではどれも差はない

使用薬剤別の比較では
 HES vs NSの比較において90日死亡リスクの軽減効果が認められている.

今までの同様のStudyでは死亡リスクは有意差なしとの結論となっていた.
HESに至っては腎不全の増悪リスクがあると言われていたが, このStudyではむしろ死亡リスク減少効果が見込める可能性がある.

腎不全リスクも無い.

28日死亡は有意差無く、臨床的に有用かどうかは判断に迷う。SOFA scoreの変化も両者でほぼ変わらず, 臨床経過も大差ないと考えられる. なぜその後に差がでたのかがよくわからない.
今後の追試に期待したい所.