外傷集団で評価したCohortではCPK>5000U/Lでは19%で腎障害となると報告されており, その数字が現在も使用されていることが多い.
(J Trauma-Injury Infection and Crit Care 2004;56:1191-96)
ただし, 外傷と内科的疾患によるCPK上昇では腎障害合併頻度が異なる印象があり,
運動後にCPKが10万超える人もよく見ますが、腎障害合併例は経験したことがありません。
そんな中、1つとても有用なStudyが発表されました.
(JAMA Intern Med. 2013;173(19):1821-1828)
CPK >5000 U/Lを満たす入院患者2371名のRetrospective study
1397名で腎不全リスク因子を評価し, 974名でValidationを施行.
患者は>18yで, 入院3日以内にCPK>5000となった患者群. AMIによるCPK上昇は除外.
アウトカムはAKIの頻度と透析移行率. それに関連する因子を評価.
母集団は平均年齢 50.7歳[19.2], 男性 73.8%. 横紋筋融解の原因は外科, 外傷性が52.9%, 内科疾患が47.1%
全体で透析が必要となったのは8.0%, 院内死亡率は14.1%であった.
年齢, 女性, 初期Cre値, 初期Ca値, 初期のCPK値, 横紋筋融解の原因, 初期のP値, 初期のHCO3値.
それら因子でScoreを作成.
Score別の院内死亡, AKI発症リスクは,
Scoreが>11でリスクは50%以上となる.
また, 横紋筋融解の原因別の頻度は,
筋炎, 筋症, 運動, 痙攣, スタチンでは低リスク.
熱傷や外科手術後, 悪性症候群, 敗血症, コンパートメント症候群, 心停止後ではHigh-riskとなる.
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例えば, 最近の症例で40台の男性が運動会で全力疾走を合計1km程した3日後にCPKが14万となり, 近医より入院加療目的で紹介されてきましたが, その人のリスクはCPK値のみで2ptのみ.死亡やAKIリスクはほぼ "0" ということになり, 紹介や入院の必要すら無かったのかもしれません.
実際の感覚ともあいます.
ただ、敗血症やコンパートメント症候群や心停止はCPK以外の腎不全要素、死亡リスクも絡んでいるので何とも言えませんが。