参考; The Oncologist 2006;11:384–392
T/HRBCLはDLBCLの稀なVariantの1つ(1-3%).
組織的に腫瘍性B cellが<10%で, 大部分をT cell, Histiocyteが占める
元々は “T cell-rich B cell lymphoma” と呼称されており, 皮膚に生じたリンパ腫において, 当初T cell lymphomaと誤診され, 少量の腫瘍性B cellが含まれていることが判明した経緯がある.
Nodular lymphocyte-predominant Hodgkin’s lymphomaやHodgkin’s lymphomaでも同様の組織所見を示すため, 診断が難しいことがある.
DLBCLよりも若年男性で多く, また, 肝臓, 脾臓, 骨髄浸潤が多い.
経過はDLBCLと同じ様な経過を示し, 治療反応性も同じ.
T/HRBCLの好発年齢は40歳台. vs. DLBCLの好発年齢は60歳台
男性が57-88%を多くを占める. DLBCLでは男女比は同等となる. T/HRBCLではより節外病変が多く, LDHが高値で, 進行したStageで発見される.
臓器浸潤の頻度も高く, 脾臓浸潤は43-60%, 肝臓浸潤は33-40%の頻度, 骨髄浸潤は1/3で認められる.
Hodgkin’s lymphomaとの鑑別
T/HRBCLと同様の組織所見をHLとNLPHLが来し得る.
cHLはより若年で生じ, 平均年齢は20-30歳台だが, 50歳台にも小さなピークを認め, その年代ではmixed cellularity subtypeが多い. また, cHLは男性にやや多いが, lymphocyte-rich subtypeはより男性で多い.
cHL; classical HLとの鑑別点
Hodgkin Reed-Sternberg(HRS) cellはT/HRBCLでも認められ, 小型のT-cellが優位に存在する像はlymphocyte-rich variant cHLの所見でもあるため, この2つの鑑別は難しい
両者の鑑別にはImmunohistochemical analysisが有用. HRS細胞の大半はCD45, CD20, CD79a陰性で, CD15, CD30陽性. 一方で, T/HRBCLの腫瘍細胞はその正反対の性質を持つ.
また, cHLの活性化細胞はT cellのみではなく, B cell, Eo, Neu, Plasma cellも含まれ, T/HRBCLではそれらの細胞は認められない点で異なる.
NLPHL; Nodular lymphocyte-predominant HLとの鑑別点;
NLPHLはHLの5%程度と稀なtype. 組織像, Immunohistochemical analysisではT/HRBCLと鑑別が困難.
NLPHLのL&H細胞は腫瘍性B cellとIHCが類似している.(CD45, CD20, CD79a陽性で, CD15, CD30が陰性)
B cell trascription factor PU.1のみNLPHLで陽性と成り易く, 鑑別点となり得る
NLPHLは名前の通り, 結節様の病変が主だが, T/HRBCLではびまん性の病変と成り易い点で異なる.
NLPHLとT/HRBCLの鑑別点は, 腫瘍細胞ではなく, Reactive cellの解析が重要.
NLPHLではより多面的な免疫反応が生じ, 小型のpolyclonal B cellが他の炎症細胞と伴に増加し, CD57+ T cellのRosettesがL&H細胞の周囲に認められる.
CD21+ follicular dendritic cellはNLPHLで残存し, T/HRBCLでは消失している.