症状もなく、「救急じゃないだろう〜〜」と思いながら診察し, 大抵は経過観察か、降圧薬内服処方かで帰宅することが多いが, 中には降圧薬の持続注射やら、舌下投与やらする先生もおり, 対応は一定していない。
(Ann Emerg Med. 2013;62:59-68.)
American College of Emergency Physician (ACEP)より無症候性高血圧患者への対応について, Clinical policy 2013が発表.
無症候性血圧上昇, とはBP>160/>100で, 特に臓器障害を示唆する症状が無い状態.
著明な血圧上昇はBP≥180/≥110で定義. Studyはこちらを使用していることの方が多い.
推奨度合いはLevel A-Cまで.以下を参照.
Level A
|
Class I, IIのstudyで証明され, 全体的に了解が得られた推奨度
|
Level B
|
Class II, IIIのstudyで示唆された, 中等度の信頼性を得ている状態.
|
Level C
|
Class IIIのEvidence, もしくはno Evidenceの状態.
|
推奨;
[1] ERに来た無症候性の高血圧患者において, 臓器障害スクリーニングは予後を改善するか?
基本的にルーチンのスクリーニングは必要なし(C)
あまりフォローされていない患者等, 一部の患者群では, Cre評価することで腎障害の程度を判断し, 帰宅 or 入院の判断に寄与する可能性がある(C)
[2] 無症候性の高血圧患者(BP≥180/≥110)において, ERで降圧剤を使用することは予後改善に繋がるか?
基本的にルーチンの降圧剤使用は必要なし(C)
あまりフォローされていない患者等, 一部の患者群では, 降圧剤の使用, 長期的な降圧コントロール開始も推奨される(C)
無症候性の高血圧患者は外来フォローを行うべき(C)
------------------------------------------------------------------------------------------------------
つまり, 一言で言ってこの分野はEvidenceが殆どない. Recommendation A-Bは無し.
基本的にルーチンで検査は必要ないが, あまり受診していない患者やデータが乏しい患者の場合は腎機能程度はチェックしたら? という位.
また, 降圧薬に関しても必要ないが, 未治療の場合は治療介入してもよいのでないの。という感じ。
当然静脈注射など必要ない(そらそうだ)。
個人的にはマネージメントを帰る必要はなさそうだ。