以前より心筋梗塞患者における輸血療法は予後を悪くするとの指摘はあった.
それに関するMeta-analysisが発表 (JAMA Intern Med 2013;173:132-139)
MI患者に対する輸血量法を比較した10 trialsのmeta-analysis.
ACS患者への輸血と予後を評価したprospective, retrospective cohort 9つ, RCT 1つのMeta-analysis.
輸血施行群 vs 非施行群を比較すると, 全死亡リスク, MI発症リスクは有意に上昇する.
アウトカム
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Liberal群
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Restricted, No群
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RR
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NNH
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全死亡リスク
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18.2%
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10.2%
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2.91[2.46-3.44]
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8
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MIリスク
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2.04[1.06-3.93]
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Publication biasも無く, やはり輸血はMI患者にはダメ?
ただし, この10 trialsのうち, RCTは僅か1つのみ.
それもN=45の小規模trial. 下表のCooper et al 2011 (Am J Cardiol 2011;108:1108–1111)
そのRCTにおけるデザインは,
Liberal群; Ht<30%で輸血施行し, Ht 30-33%に維持.
Restricted群; Ht<24%で輸血施行し, Ht 24-27%に維持するプロトコール
他のCohortは要は◯◯人のMI患者がいて, ××人で輸血しました。
いろいろな多変量解析を行うと、輸血した人達の予後が悪かったです、と言っている程度。Cohortの中にはProspectiveやPropensity-matchedといったような比較的Evidence Levelが高いものはあるが, それでも限界はある。
輸血の適応となる時点で予後は悪いと言わざるを得ない.
各Study別のアウトカムをみてみると
唯一のRCTは実は優位差は無し.
でもたかがN=45であり、それもアテにはできない。
まぁ、つまり、この分野はまだまだEvidenceが乏しく, 結論できない.