ページ

2013年1月7日月曜日

レジオネラ肺炎214例の比較

スペインの単一施設における15年間の市中肺炎を評価 (Medicine 2013;92: 51-60)
1995-2010年に入院した免疫正常者の市中肺炎は3934例.
その内Legionella pneumophilaによる肺炎は214例(5.4%)であった.

面白いのは肺炎の季節性.
肺炎全体でみると冬場に多く, 夏〜秋にかけては肺炎は少なくなるが,
 レジオネラ肺炎はその逆。夏〜秋にかけて頻度が増加している.
 相対的に肺炎全体に占めるレジオネラ肺炎の頻度も増加する.
 (夏場の水遊びやレジャーによるもの?)

レジオネラ肺炎と肺炎球菌性肺炎の比較;
*は有意差ある項目

Legionella(214)
肺炎球菌(1346)
年齢*
58.2(13.8)y
66.4(16.9)y
男性*
76.6%
65.6%
喫煙歴*
72.8%
56.9%
アルコール依存*
39.3%
18.5%
15d以内の旅行*
7.4%
1.4%
COPD*
11.7%
29.9%
慢性心不全
19.2%
20.9%
DM
19.2%
20.4%
慢性腎不全
4.2%
6.4%
肝不全
4.7%
8%



喫煙歴や飲酒はレジオネラ肺炎のリスクになりやすく、COPDは肺炎球菌性肺炎で多い。
またレジオネラはやや若い年代に多い。

症状の比較
症状
Legionella(214)
肺炎球菌(1346)
体温*
38.5(1.5)
37.8(1)
HR≥100bpm
53.5%
56.1%
RR≥30
46.2%
50.6%
頭痛*
40.7%
13.9%
関節痛/筋肉痛*
43%
16.7%
咳嗽*
66.2%
88.5%
意識障害
16.8%
15.7%
来院時敗血症性ショック*
2.4%
12.4%
膿性喀痰*
40%
60.4%
胸膜痛*
23.9%
53.7%



頭痛や関節痛など呼吸器外症状はレジオネラで多い。意識障害は有意差無く, 敗血症性ショックは肺炎球菌性肺炎の方が多い。
膿性喀痰や胸膜痛、咳嗽など呼吸器症状は肺炎球菌性肺炎で多い。

血液検査、画像検査
Lab
Legionella(214)
肺炎球菌(1346)
呼吸不全
61.2%
63.9%
WBC≥12000/µL*
49.1%
68%
AST≥40UI *
71.3%
35.1%
ALT≥40UI *
65.7%
27.5%
Alb<3.0g/dL *
61.4%
52.9%
Na <130mEq/L *
26.7%
10.4%
Multilobar pneumonia*
40.4%
33.2%
胸水貯留*
14.6%
20.7%



肝障害、低Na、低Albはレジオネラ肺炎で多い。
呼吸不全の頻度は同等。

 >> 呼吸器症状に乏しく、呼吸器外症状が多い割に、呼吸不全という点がレジオネラっぽいと言ってもよいのかもしれない。