Am J Respir Crit Care Med Vol 186, Iss. 11, pp 1095–1101, Dec 1, 2012
において, CO中毒のRecommendation、Reviewが出版されていたので、その中の高気圧療法について記載します。
高気圧酸素療法 vs 1気圧酸素投与の比較のTrials
アウトカムやデザインが様々で一概に結論づけることは困難.
この中では, Weaverが2002に発表したstudyが最もデザインがしっかりしており,
24時間以内に3回の高気圧治療では長期的な認知障害を予防可能との結論になっている.
このtrialを詳しく見てみましょう.
急性CO中毒患者152名のDB-RCT. (N Engl J Med 2002;347:1057–1067)
StudyはN=152名の時点でOutcomeに差が出たため中断された.
患者群は24時間以内に3回の高気圧酸素療法群と, 1回の等気圧酸素+2回の等気圧室内気療法群に割り付け, 6wk~12moの長期予後(認知機能)を評価
患者群の平均CO-Hbは25±9.2%
Studyのプロトコール; CO暴露から24時間以内に, 24時間で3回の高気圧酸素を行う.
対象群では1回の等気圧酸素療法 + 2回の等気圧 室内機をBlindされた状態で行う.
圧のかけかたと酸素投与, 室内気の切り替えのプロトコール.
アウトカム;
@6週間での認知機能、記憶機能障害頻度は高気圧酸素群で有意に低い.
@6ヶ月, 12ヶ月の認知機能障害も有意に高気圧酸素群で低く, 長期的な認知機能に対しては高気圧酸素療法は有用な可能性が高い.
ちなみに, CO中毒による錐体外路症状や、認知機能障害は低酸素が主な原因という説がある.(CO-Hb 25%ならばO2-Hbは高くても75%のみになってしまっている)
それが高気圧酸素療法で予防可能ならば, 例えば低酸素脳症の患者は高度貧血で後遺症として低酸素脳症様の症状を来す例においては高気圧酸素療法は予防として有用な可能性があるということか。