糖尿病合併例は除外されており, 自律神経機能に影響を及ぼす薬剤は24時間前に中止を指示.
自律神経の評価はTILT試験, 深呼吸時HR変化, Valsalva法, 発汗試験, CASS scoreなどで評価.
自律神経症状が最も高度な認知症は当然MSAだが, DLBも高頻度. PDは比較的自律神経障害は少ない傾向にある.
起立性低血圧はDLBの約半数に認められるが, PDでは少数のみ.
AD 39例, Vascular dementia(VAD) 30例, DLB 30例, PD 40例, 高齢者Control 38名で自律神経障害を評価. (J Neurol Neurosurg Psychiatry 2007;78:671-677)
全認知症でHRの変動は低下し, 起立性低血圧を認め得るが, ADとVADは比較的軽症か低頻度. DLB, PDが多い傾向にある.
起立性低血圧の頻度はDLBで52%, PDで49%と高頻度.
ADやVADでは34%程度と少ないが, それでも1/3で認めると思えば多い方.
Control群では13%のみ.
最初のStudyではParkinson病における起立性低血圧頻度は低いとの結論だったが, 2つ目のStudyでは結構多い.
全体的な印象としてはMSA, DLBが最多で, 次いでPD ≥ VAD = ADくらいの頻度か?
血管性認知症において, 白質病変と起立性低血圧頻度には関連性があるとの報告もあり, 其々の認知症の重症度も関連性があるのであろう. (Acta Neurol Scand 1993;87:286-9)
補足; 自律神経障害を来す中枢病変
島回, 前帯状回, 視床下部, 脳幹の障害は自律神経障害を来す
特に前帯状回は重要.
内側前脳束, 背側縦束, 反屈束, 乳頭被蓋路が嘔吐中枢に関与.
同部位のてんかん発作にて嘔吐を来すことが知られている.
実際900例のてんかん発作のうち, 24例で嘔吐(+) ; Ictus emeticus. (Pediatr neurol 2004;31:283-86)
側頭葉てんかんで, 前島回をフォーカスとするてんかん発作ではIctus emeticusを来すことがある. (Epilepsy and Behavior 2008;13:560-63)
島回や前頭葉の脳梗塞で急性の尿閉がくる例もままありますよね。