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2014年10月22日水曜日

敗血症性ショックとステロイド(2014/10/22 UpDate)

いまさら?という内容かもしれませんが、面白いStudyがあったのでこの際まとめてみます。
敗血症性ショックに対するステロイド治療に関しては、2つのtrialをおさえる必要がある.

Annaneによる2002年に発表されたStudy (JAMA 2002;288:862-871)
 敗血症性ショック300名を対象としたDB-RCT.
 Hydrocortisone 50mg q6hr + Fludrocortisone 50µg/d vs Placeboに割り付け, 7日間継続. 28日間死亡率を比較. ステロイドは7日投与後は中断.
 母集団; 患者は敗血症で, 1時間の適切な補液と5µg/kg DOAもしくは他のカテコラミンを使用してもsBP<90mmHg, 尿量<0.5mL/kg/h, PaO2/FiO2 <280, Lac>2mmol/L, 挿管管理中の患者. 敗血症性ショック後3-8hrで割り付け.
アウトカム; Rapid ACTH testへの反応(+)は70名, 無反応は229名
28日死亡率は

母集団
Placebo
Steroids
OR
全患者
61%
55%
0.65[0.39-1.07]
Nonresponders
63%
53%
0.54[0.31-0.97]
Responders
53%
61%
0.97[0.32-2.99]

Rapid ACTH testへの反応が無い例では, NNT10でステロイド投与にて死亡リスクが軽減するという結果.

CORTICUS trial (NEJM 2008;358:111-124)
 敗血症性ショック499名のDB-RCT.
 Hydrocortisone 50mg q6hr vs Placeboに割り付け, 28日死亡率を比較. Hydrocortisoneは5日間継続. その後50mg q12hr 6-8日, q24hr 9-11日とし中止
 母集団は感染症(+), ショック状態後72hr以内(ショック; 適切な輸液 もしくは昇圧薬を1時間以上使用), 多臓器不全を認める.
Rapid ACTH testのcutoffはCortisol <9µg/dL
アウトカム; Nonresponderは233名. Responderは254名
28日死亡率は

母集団
Placebo
Steroids
RR
全患者
31.5%
34.3%
1.09[0.84-1.41]
Nonresponders
36.1%
39.2%
1.09[0.77-1.52]
Responders
28.7%
28.8%
1.00[0.68-1.49]

Rapid ACTH testの結果に関わらず, ステロイド投与にて死亡率は変わらないという結果.

副作用の評価では,
ステロイド投与群で有意に新規敗血症性ショックの発症, 高血糖, 高Na血症のリスクが上昇するという結果.

この2つの結果が異なるtrialを比較すると, その母集団が大きく異なっている.


French trial
CORTICUS Trial
Inclusion criteria
敗血症ショック発症8hr以内
適切な輸液 AND 昇圧剤を1hr以上続けても血圧が90未満
敗血症ショック発症72hr以内
適切な輸液 OR 昇圧剤を使用しても血圧が90未満
平均SASPII
55.5
49
ステロイド投与期間
7日
5日
ステロイド漸減
なし
6日
Fludrocortisone
あり
なし
患者背景
Surgical sepsis 40.1%
Surgical sepsis 64.5%
Placeboの死亡率
61%
32%


ショック発症からの時間, 敗血症性ショックの定義(輸液+昇圧剤でもsBP<90なのか, 輸液もしくは昇圧剤投与でもsBP<90なのか), 母集団の重症度, Placebo群の死亡率(61% vs 32%)が大きく異なっている.

当然Annaneのstudyの方が重症例が多く(Placeboの死亡率が6割), そのような患者群ではステロイドは効果があるのかもしれない. 
具体的には補液+昇圧剤でも血圧が保てない症例で使用するという考えはありであろう.

具体的にどのような患者群で使用すべきかというcriteriaは未だなし.
少なくともRapid ACTHの結果は投与すべきかどうかを判断する材料には使用できそうもない.

米国の医師はどうしているのであろうか?
Journal of Critical Care 2012;27:351-61にて, 米国のICU医師に対するアンケート結果がまとまっていた.
 そこでは, Severe Sepsis(補液に反応する敗血症+低血圧)では83%がステロイド投与を推奨しない, Septic shock(補液で反応せず, カテコラミンを必要する)では, 81%でステロイド投与を推奨するという結果.
 投与の基準としては, 『患者の状態次第』とするのが65%. 血清Cortisol値を基準とするのが35%であった.
 血清Cortisol値の基準としているのは以下の通り
また, 投与量はHydrocortisone 200mg/dとしているのが最多8-9割以上.

敗血症性ショックでは8割以上が未だに使用しているのは思ったよりも多かった.
患者の状態次第で, 特に重症度が高い場合は使用すべきと言えるが, そのCriteriaをどうするかねぇ.

敗血症性ショック患者 6663例を対象としたRetrospective study (Crit Care Med 2014; 42:2333–2341)
 このうち1837例でLow-dose steroidを使用しており, Propensity-matched analysisにてステロイド使用群, 非使用群を各1837例抽出し, 予後を比較.
アウトカム:

全体では院内死亡率に有意差は無いが, APATCHE II ≥30の群では有意にステロイドによる死亡リスク低下効果が認められる.

これは重症例のみでステロイド効果が期待できるという理論にも一致する.
一つのステロイド使用の指標となり得る可能性があるか