急性アルコール中毒 Dynamed翻訳
【障害臓器】
●中枢神経、腸管、肝臓、膵臓、心臓、筋肉、血液
●アルコール中毒状態契機の外傷によってそれ以外の臓器も損傷
【罹病】
18歳以上300人を横断調査
●17.7%がアルコール依存、アルコール濫用状態
●49.3%は少なくとも一つアルコール濫用による臓器障害を持つ
●故意でないアルコール多飲により死亡する率は0.1/10万人
【病理】
アルコール脱水素酵素がアルコールをアセトアルデヒドへ変換する。
●この反応は20~30mg/dl/hの速度
●アセトアルデヒドは急速に浄化される
【合併症】
青年期の問題あるアルコール利用は成人してからのアルコール濫用、うつ、反社会性人格障害のリスク増加に関係している。そのほかのリスク因子は喫煙やアルコール中毒の父親だった。
【主訴】
50~100mg/dl :判断力低下、抑制・協調性低下、感覚不全
100~200mg/dl:行動変化、不明瞭発語、運動・バランス失調、認知障害
200~300mg/dl:傾眠、平衡感覚障害、嘔吐、誤嚥、複視
300~400mg/dl:昏睡、呼吸抑制、健忘、低体温、不整脈
【問診】
●外傷の有無
●飲酒量
●その他の薬物乱用
●離脱症状
●意識状態の変化
【薬歴】多くの薬物がアルコールと相互作用を起こす
【身体所見】
vitalや外傷の徴候を確認。重症のアルコール中毒は頻脈性不整脈を引き起こす
【診断】
呼気や血液から飲酒量を測定
【除外】
●アルコール離脱、アルコールによる幻覚
●他の中毒:エチレングリコール、メタノール、イソプロピルアルコール、ベンゾジアゼピン、麻薬、一酸化炭素中毒、フェニトイン
●代謝障害:低酸素、低血圧、低血糖、低体温、DKA、尿毒症、低Na、高Ca、肝性脳症
●感染:敗血症、髄膜炎、脳炎
●神経疾患;痙攣、痙攣後、Wernicke-korsakoff、脳卒中
●閉鎖性頭部外傷:硬膜外血腫、硬膜下血腫、SAH、脳挫傷、脳震盪
●入院中にイソプロパノール手指洗浄剤を経口摂取することで中毒になるcaseが報告されている
【血液検査】
●血清浸透圧計算:2×Na+BUN/3+Glu/18+エタノール/5
●アルコール中毒による血小板減少
●血清FAEEs(脂肪酸エチルエステル)濃度は少なくともエタノール摂取後24h持続。
【治療】
●アルコール関連痙攣を起こした場合はロラゼパム2mgをsingle ivすることが有意義。再発を大幅に減少(48時間以内の再発3%vs24%:NNT7.7)させる。
●メタドキシン:ビボリブ
・慢性アルコール中毒依存症治療薬、シアナマイドのような副作用なし
・急性アルコール中毒からの回復を早める
・メタドキシン300mgIVにより2時間後の臨床カテゴリーが改善(76.9% vs placebo 42.3% NNT3)。血中アルコール濃度は105.4mg/dl vs 60.1mg/dl
●効果がないもしくは悪化する薬剤:
ピリドキシン、フルクトース、フルマゼニル1mg(ただし2~5mg以上は効果あるかも)、ナロキソン、プロプラノロール40mg
【その他治療】
●輸液
●嘔吐などに対する対症療法
●電解質補正
●アルコールは急速に吸収されるため、胃洗浄の効果は限られる。
●2日酔い予防
・飲酒5時間前にサボテン(Opuntia ficus indica)抽出液を内服すると2日酔いがいくらが軽減されるかもしれない(ただし厄介でない症状の緩和程度。嘔気、食欲不振、口渇感など)
【予後】
●アルコール中毒は事故、交通外傷のリスクを増加させる