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2012年5月16日水曜日

第一親等内に大腸腺腫患者がいる場合の大腸癌リスク

第一親等内に大腸癌、大腸腺腫がいる場合, 大腸癌のリスクとなり, スクリーニングすることが推奨されている.

第一親等内に大腸癌患者がいる場合のスクリーニングの推奨は,
第一親等内で<50歳で大腸癌を診断 ⇒ 遺伝子検査の対象
第一親等内で≥50歳で大腸癌を診断 ⇒ 40歳以降は大腸癌スクリーニング推奨
(NEJM 2009;361:1179-87)

第一親等内に大腸腺腫がいる場合のスクリーニングの推奨は,
第一親等内で<60歳で大腸腺腫を診断
⇒ 40歳以降, もしくは『その親族が腺腫を診断された年齢』-10歳から
CFによるスクリーニングが推奨. CFは5年毎
第一親等で≥60歳で大腸腺腫を診断
⇒ 通常リスク群としてスクリーニングを行うが,  40歳から始めることが推奨。
もしくは最初にCFを行い, 正常ならば通常リスク群として扱う
(Ann Intern Med 2012;156:703-709)

これに関して,
第一親等内に大腸腺腫(+)の場合の大腸癌リスクを評価したStudyのMetaを施行。
しかしながらリスクについて言及している文献は2つのみ。

一つ目は, 日本国内からの報告。
企業検診にてCFを施行した6139名の解析。
第一親等内に大腸腺腫の病歴があるかどうかを問診票で確認し,
CF結果と照らし合わせ.
結果は, 腺腫病歴+群では 大腸癌 2.31%, 一方, 病歴-群では0.53%と, 大腸癌RR 4.36[1.60-10.21]
これに関しては, 病歴の取り方とか信頼性とかの評価が不十分。

二つ目はフランスからの報告
第一親等内に≥1cmの大腸腺腫を認める306名でCFを施行。実際施行したのは55%の168名のみ
また, 第一親等内に腺腫, 大腸癌の病歴(-)の1362名でCFを施行し, 大腸癌, 腺腫有病率を比較
結果は 8.3% vs 4.2%, RR 2.27[1.01-5.09]と≥1cmの腺腫(+)群の方が高リスク。

また, <60yrで診断, 男性, Distal Adenomaの場合はより進行癌を認めるリスクが高い。