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2013年7月31日水曜日

ぶどう膜炎の原疾患


Orphanet Journal of Rare Diseases 2012, 7:57

オーストリアのVienna大学にて1995-2009年に診断したぶどう膜炎2619例のReview.
 男性は48.2%, 女性51.1%とほぼ同等. 平均年齢は38.8±18.3歳[1-87y].
 17-60歳での発症が79.8%を占め, <17歳が9.2%, >60歳が11%.

炎症部位はanterior 59.9%, Intermediate 14.8%, posterior 18.3%, panuveitis 7%.
炎症部位と続発性の割合は以下の通り;


続発性ぶどう膜炎の原疾患
関節炎に伴うぶどう膜炎が10.1%(265例)
 強直性脊椎炎 143例, 関節リウマチ 42例, Juvenile idiopathic arthritis 58例, 反応性関節炎 5例, 乾癬性関節炎 17例.
感染性ぶどう膜炎が19.0%(495例)
 ウイルス性 226例 (ヘルペス 201例, VZV 14例, CMV 5例, 他 10) 寄生虫 198例 (トキソプラスマ 173, Toxocarosis 18, 他7) 細菌性 47例, 真菌性 24例.
全身性疾患が8.4%(221例)
 ベーチェット病 49例, サルコイドーシス 64例, クローン病 30例, 多発性硬化症 25例, 潰瘍性大腸炎 14例, Whipple病 2例, Vogt-Koyanagi-Harada病 11例, SLE 7例, Masquerade syndromes 19例, 

 乾癬性関節炎の7-20%でぶどう膜炎を合併し, その56%が両側性 (特発性では7-21%が両側性)
その他が19.2%(503例)
 HLA-B27関連急性ぶどう膜炎が271例, Fuchs’ heterochromic cyclitis (HCF) 88例, serpiginous choroidopathy 10例, acute posterior multifocal placoid pigment epitheliopathy (APMPPE) 8例, multiple evanescent white dot syndrome 6例, glaucomatous cyclonic crisis 10, sympathetic ophthalmia 2例,

炎症の部位別の頻度は,
原疾患別の発症年齢は以下の通り

2013年7月30日火曜日

レクチャー 進行性核上麻痺

進行性格上麻痺 Progressive supranuclear palsy


2013年7月23日火曜日

レクチャー 感染性肝膿瘍

感染性肝膿瘍
Pyogenic Liver Abscess

2013年7月17日水曜日

院内CPA症例にはアドレナリン+バソプレッシン+ステロイドの併用を.


JAMA. 2013;310(3):270-279


院内CPAで, ガイドライン(G2005)に準じた蘇生が行われる268例を対象としたDB-RCT.
患者は18歳以上で院内CPA症例で, ガイドライン(G2005)に準じたCPRを行われる患者群.
除外項目として, DNAR, 寿命<6wk, 失血によるCPA(動脈瘤破裂等), 院外CPA症例.

上記患者群を以下の2群に割り付け, 神経学的予後を比較;
 カテコラミンとして,
 ① VSE; Vasopressin+Steroid+Epinephrine群
  Vasopressin 20 IU/CPR cycle + Epinephrine 1mg/cycleを使用, 
  1st-5thサイクルにVasopressinは併用(Max 100 IU)
  他にmPSL 40mgをCPR中に投与(1stサイクル)し,  蘇生後 4hで蘇生後ショックが持続している場合はhydrocortisone 300mg/d 7日間投与する群. (ACSの場合はhydrocortisoneは1-3日間の使用とした)

 ② Control; Epinephrine 1mg/cycleのみで他はNSのPlaceboを投与する群.

母集団;
蘇生時のデータ;
自己心拍再開まで20分以上かかった症例はControl群65.9%, VSE群83.3%とVSE群で有意に多かった.

アウトカム;

退院時CPCS 1-2を達成した割合はVSE群で有意に高い.
特に蘇生後ショック(+)群でその差が大きい傾向がある.
(CPCS 1-2; good performance, moderate cerebral disability)

CPA蘇生の際のEpinephrine+Vasopressin vs Epinephrineの比較はNEJM 200;359:21-30にRCTがあり, その際は救命率, 退院率, 退院時神経予後は有意差は認めなかった.
 そのStudyは院外CPA症例 2956名のRCTであり, 今回の院内CPA症例とは異なる.
 また, ステロイドを併用しているのも異なっている.

院内ならば併用が効果的なのか、はたまたステロイドが効果的だったのか、議論があるところだが、ガイドラインに影響を及ぼすStudyであることは確か。
院内CPAではひとまずこのレジメを使っておこうかな。

2013年7月9日火曜日

レクチャー 好中球減少

好中球減少 Febrile neutropenia

2013年7月7日日曜日

救急に来た 「血圧が高いんです」という患者への対応

当直中、真夜中に「家で血圧が200なんです。。。」という主訴で救急外来を受診される患者さんは結構目にする。

症状もなく、「救急じゃないだろう〜〜」と思いながら診察し, 大抵は経過観察か、降圧薬内服処方かで帰宅することが多いが, 中には降圧薬の持続注射やら、舌下投与やらする先生もおり, 対応は一定していない。


(Ann Emerg Med. 2013;62:59-68.)

American College of Emergency Physician (ACEP)より無症候性高血圧患者への対応について, Clinical policy 2013が発表.

無症候性血圧上昇, とはBP>160/>100で, 特に臓器障害を示唆する症状が無い状態.
著明な血圧上昇はBP≥180/≥110で定義. Studyはこちらを使用していることの方が多い.

推奨度合いはLevel A-Cまで.以下を参照.


Level A
Class I, IIstudyで証明され, 全体的に了解が得られた推奨度
Level B
Class II, IIIstudyで示唆された, 中等度の信頼性を得ている状態.
Level C
Class IIIEvidence, もしくはno Evidenceの状態.


推奨;
[1] ERに来た無症候性の高血圧患者において, 臓器障害スクリーニングは予後を改善するか?
 基本的にルーチンのスクリーニングは必要なし(C)
 あまりフォローされていない患者等, 一部の患者群では, Cre評価することで腎障害の程度を判断し, 帰宅 or 入院の判断に寄与する可能性がある(C)

[2] 無症候性の高血圧患者(BP≥180/≥110)において, ERで降圧剤を使用することは予後改善に繋がるか?
 基本的にルーチンの降圧剤使用は必要なし(C)
 あまりフォローされていない患者等, 一部の患者群では, 降圧剤の使用, 長期的な降圧コントロール開始も推奨される(C)
 無症候性の高血圧患者は外来フォローを行うべき(C)
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つまり, 一言で言ってこの分野はEvidenceが殆どない. Recommendation A-Bは無し.
基本的にルーチンで検査は必要ないが, あまり受診していない患者やデータが乏しい患者の場合は腎機能程度はチェックしたら? という位.

また, 降圧薬に関しても必要ないが, 未治療の場合は治療介入してもよいのでないの。という感じ。
当然静脈注射など必要ない(そらそうだ)。

個人的にはマネージメントを帰る必要はなさそうだ。