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2016年7月15日金曜日

過多月経による鉄不応性鉄欠乏性貧血にはトランサミン®を

若い女性における鉄欠乏性貧血の主な原因は月経によるもの.
鉄剤補充で反応することが多いが, 過多月経では鉄剤を使用しても鉄補充が追いつかないことがある.

最近もそのような症例がありました.

そういう時にはどうするか?
(当然婦人科診察し、治療可能な病変がないかどうかはチェックします)

月経出血過多(Heavy menstrual bleeding:HMB)は1回の月経で80ml以上の出血を伴う場合で定義される
・HMBは女性のQOLを低下させ, またIDA治療失敗のリスクにもなる

HMBにはトラネキサム酸が有用.
(International Journal of Women’s Health 2012:4 413–421)
・HMBに対するトラネキサム酸は出血量の減少やQOLの改善効果が期待できる.



・小規模Studyが多いが, 1.5-4.5g/dを月経開始から4-7日間使用することで月経時の出血を26-60%低下させることが可能.
・プラセボやNSAID, 他薬剤と比較して有意に減少効果が認められる
・QOL改善効果もあり.

・国内の投与量は750-2000mg/dであり, 最大投与量を4-5日継続する.

最近の報告では, 経口避妊薬と同程度の出血量減少効果, QOL改善が認められる
 トラネキサム酸と経口避妊薬の効果を比較した小規模(n=17), cross-over RCTでは, 出血量, QOLの改善効果は両者で同等であった.
(J Pediatr Adolesc Gynecol 28 (2015) 254-257)

奥の手として覚えておくとよいことがあるかもしれません.